伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十四回
佳作特別賞
ままごとの吾は子の役桃の花
持ち歩く啄木歌集春よ来い
工事場の音止んで知る昼餉時
楕円形の人生でよし初鏡
一瞬を濃くし木犀風を止め
宇宙人みたいな孫の帰省中
折紙のあねさん人形春を待つ
つくしんぼ山の向うが見えている
母から子たすきつながる吊し雛
節分の豆を噛む歯がまだありぬ
ブランドで着膨れている傘寿かな
川幅を余すことなく花筏
好物を問えば風呂吹き初デート
太刀魚の銀の長さを捌きけり
最初はぐーあいこ続けて日脚伸ぶ
春昼の芙美子の町に子猫かな
筆談の一字は百語銀河濃し
王女の名授かり薔薇の刺がある
陽炎に包まれ漁師戻りけり
逆風に負けない私は風車
冬茜陽明門が笑いけり
思い出を取り揃えたる夜店かな
風と風ぶつかる崖の黄水仙
のびのびと老いて明るく腹立てず
雑煮食ぶブラジル人になりきれず
東京より一年生を見せに来る
小石など動き出しそう小春の日
旅支度あすからわたし回遊魚
爪染めることなき生活大根抜く
お互いにマスクのままで擦れ違う
雛飾る親子三代左利き
浜風に舞ふ百枚の絵凧かな
菜の花のなか行くSL貴婦人号
飛石の数だけ寒き靴鳴らす
極楽の空は何色冬の虹
これからが本気なんです猫の恋
能面の皺深々と秋闌ける
三月のまだ眠い木に触れてみる
六月の退屈そうな雄ゴリラ
癒えたしか声透きとほる母囲む
階段を二段跳びする春立つ日
パソコンのごみ箱空っぽ年あらた
クレヨンの黄は月見草あなたです
春隣ちょっとおしゃれな杖を買ひ
あやとりの梯子春月にかける
てのひらに転がす宇宙竜の玉
陽の光連れて薄氷流れゆく
携帯電話の先はモンゴル鰯雲
長所より短所なつかし秋彼岸
落葉かき山の匂ひを独りじめ