伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十四回
佳作特別賞
秋晴や伊予の訛で城を賞め
傷ついて尖った街に円い月
沢庵石もはや家宝となりにけり
純白のアオザイ立居爽やかに
大泣きのあかんぼの反り雲の峰
姉の背に母の背見たり星月夜
やっと来た定年というまたの春
花祭象を引く子の少なくて
二十二時月下美人に呼ばれけり
初みくじ交換して読む若夫婦
君送る後を追いかけ雪が追う
猫柳活けてふるさと引き寄せる
ぼう倒し親友たちも敵になり
蹴り上げたボール一瞬金環食
こもれびの秘湯につかり肌もみじ
何もかも許されそうな雪積もる
東京で迷子になった雪女
ならぬことはならぬ会津の雪霏霏と
万年の我が身を乗せし花筏
木の実落つ地球に環る音のして
誰がする単身赴任の俺の家事
出稼ぎの間はいつも山眠る
今日から立春と云ふ川の音
二丁目の猫五丁目の猫に恋
星あつめ泡立つ銀河西表
春愁や猫はひねもす薄目して
樹木医の木槌のひびき春隣
古希迎え枯れてたまるか冬木立
問ひかけるブッセの空へしゃぼん玉
完熟という傷みあり林檎むく
廃屋をつばめの親子守りたる
透明に時間を止める蝉時雨
異国語と日本語混じりあたたかし
種あかしされ黄蝶になっている
名月に魅せられ買った月の土地
キャッチャーのサインを盗む赤トンボ
軽トラに積み残したる麦の秋
春の月ラセン階段降りてこい
コスモスを手折りて走る村の子ら
すかんぽを噛むや昭和の貨車現るる
パンジーはよく咲くとても暇だから
お茶の間にネコも団らん文化の日
囀りや画紙に群青色落とす
頑固さは父の家系や入道雲
夕焼を少し貰ってポケットに
燕の軒も描き足す設計図
地球儀の旅の途中で蟻迷ふ
時々は凹むことありかりんの実
シャム猫の見つめる先の青蛙
歩かねばならぬ長生き冬の月