伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十四回
佳作特別賞
テレビより単語帳見る日が増えた
いつになく広い教室別れの日
恩師へと切手舐めれば春の風
ひぐらしが夕暮れの街に鳴り響く
おしゃべりなカトレアたちも静かな日
マフラーは君と巻くため長めです
思い出は時間が造った足跡だ
親の肩漬けもの石よりカッチカチ
白い息言葉が形になっていく
まだ青くお嫁に行けないミニトマト
初売りで初めて買った黒スーツ
食べ方に困ってしまう鏡餅
かじかんだ指で作ったチョコレート
年越しのたびに小さくなる背中
海と森ヒカリ始める夏の色
黒板の白銀チョーク雪景色
引き出しの奥で目が合う参考書
教室の窓際の席が好きでした
決意の春桜のようには散らせない
ポニーテール上手く結えない春の朝
ビル群の真上に溶け込む夏の雲
19才やり残したことを探す夏
静寂に靴のおしゃべりこだまする
クリスマス二人の鼓動一つになる
春隣みつけたやうにしゃがみこむ
十九年生きて一番泣いた春
指揮棒を下ろせば広がる大海原
父の休日響く音色が微笑ましい
懐かしき友と過ごせりクリスマス
故郷や柚子の香染み入る作業服
鬼は外豆追いかけて出てく猫
初雪と二人で歩いたこの道と
貴方との予感がしてる春一番
あの人の姿を見つけ春爛漫
寂しいなあの木がもうない我が母校
かじかむ手ぎゅっと握ってはにかむ君
冬の夜の優しい寒さに起こされて
南国に吹く北風の潮のにおい
ふでばこのなかに秘めたる野心あり
今だから笑えぼくらが幸福論
誘惑に負けてはいかん小銭たち
君に会い春の始まる前奏曲
あとひとつ生まれてきそうな冬の星
この気持ち散らしておくれ粉雪よ
ふきのとう最後の力で花咲かす
下積みの不満ばかりの蝉時雨
赤青黄左右確認黄色帽
カブトムシインターネットが今の網
青嵐今にも龍馬が動き出す
大晦日願い叶える除夜の鐘