伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十四回
佳作特別賞
縫う手やみ母が船こぐ小春かな
重箱にたくさん詰める初笑
青春をたくさんつめ込む制服に
ランナーを見てる私が息切れる
返り点甲乙その先霧の中
山絵の具初日の空に書き初めか
静電気あなたと私が触れるとき
たんぽぽが並んで歩く新学期
雪の音パチリと王手祖父の指
つうがくで冬の電車が息をはく
りんご食べすべて知りたい無知な僕
生きている陽が昇ることの暖かさ
スルメイカ噛むように解く数学Ⅱ
冬近しとり残された揚羽蝶
からっぽのフイルム抱えて春をいく
白雪をながめて思う遠い人
思い出と共に取り出すひな人形
人は皆木の芽のように強くある
稜線がくっきり見える寒の朝
その言葉つららのように刺さりけり
鐘の音ゆうやけこやけ田舎だよ
親と姉別れの時期か秋の風
夏の陽と目線集まるこの打席
福笑いみんなに福が行きわたる
青春の最終電車に乗りました
春風に無視されないようしがみつく
スカートを少し伸ばして始業式
画用紙に赤いもみじを貼り付ける
携帯を落として終えた花火の日
鯉幟目標向けて一直線
立春やいつもと違う服を買う
縄跳びや地球を回す円の中
深呼吸答案用紙に名前を書く
桃色に若葉かさなり京の色
冬の海漁師の声聞こえけり
ノート上光が射して春隣
そこにいるかかしの名前は山田くん
山眠る目につくシャッター街眠る
ぶらんこに残る昔のくつの影
日がくれてたった一匹飛ぶトンボ
切り干しと吊るし柿との相合傘
バレンタイン想い伝えるいい機会
まだかなと餅の焦げ目を箸でつき
雲の峰我こそ王だ青空よ
見えないがそこまで来てる春の足
夕暮にカラス一匹鳴いてない
賽銭に投げた五円が弾かれた
竹刀振るきれいに見えた汗の粒
クリスマス上の階から軋む音
春風に入れかえられた気持ちたち
