伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十五回
ユニーク賞
ひこうきのそらのあしあとしろいりゅう
おそらまでこのブランコでゆくつもり
ぼくとママかげもなかよしてをつなぐ
なつやすみバタ足できたさいごの日
アクアラインビルの町からいなか町
サルになるジャングルジムでくつぬいで
しゅくだいをしてくれるサンタがほしい
ジャンプだいわたしがのるとうれしがる
七草を教わりながらきざむ朝
かがみもちカビがはえてる生きてるな
まん月が小犬みたいについてきて
はつ雪にぼくの自転車うまってる
ねこじゃらしじゃれているのはうちの犬
ちょうしんきわたしのうそは聞かないで
うちのにわ小鳥のためのお店です
黒ねこは雪と交ってパンダの目
こいのぼり田んぼの鏡でおしゃれする
おじいちゃんメガネをかけてはえたたく
丸つけをすると気分は先生だ
田植えしたどろがぐちゃぐゃしゃべってる
どろ足の感しょく残る田植えあと
肖ぞう画おなかがすいた顔してる
おるす番子ねことくっつきドアにらむ
しもばしらよこから見るとカイバシラ
カメ吉のこうらはまるでメロンパン
びこうする変なしゅみだなお月さま
兄ちゃんの合格待ってるだるまの目
運動会なかよしだけどてきどうし
本気をだすと北風よりも速いぼく
ししまいが泣いた赤ちゃんだっこする
お母さん電話の声まで化粧してる
秋桜買い物ぶくろをくすぐった
大そうじ家族は母のいいなりに
おじいちゃんとマラソン練習かげんして
去年より力がついたいねはこび
パイナップルあたまをリンスしてあげたい
弟の顔かいたたこよくあがる
マラソン大会私の顔はライオン丸
ダイエット正月だけは無礼講
クリスマス我が家のサンタ出張中
あっ雪だ誰かに見せたい携帯で
稲刈りはいろんな虫が動いてる
ふぶきの日姉のすがたはエスキモー
クリスマスサンタの予算母に聞く
発表会いっしょにきん張する桜
東京の黒い顔した雪だるま
秋の虫そろそろ出番とリハーサル
カブトムシかがやくボディーが美しい
一日を延ばす魔法をかけたいな
おこってる母止めれるの電話だけ
お母さん年齢書くとき手が止まる
ライバルと背のびしあってとる写真
どうしてもねこが手を出すコマ回し
テストを先生の声で予想する
サンタからかしこくなれと電子辞書
おもいきりゆず入れすぎてしみるふろ
祖母だけでまご八人分の年がある
西の月冬の太陽すぐねむる
お年玉廊下でそっと開けてみる
五円玉今日は主役の初詣
星達は月を愛する小人達
わたり鳥世界を空からパトロール
お弁当理想の中身は花畑
意味もなく開いて閉じる冷蔵庫
灯油切れ誰が入れるか見つめ合う
赤とんぼ夕日を食べて一直線
寒いからもう帰ろうと犬に言う
クリスマス夜におもちゃが騒ぎだす
揚げたてのコロッケ湯気まで美味しいね
除夜の鐘夢の中まで響いてる
新学期ケシゴムの角まだ九十度
花畑いろんな色の海みたい
消しごむは体をはって字を消すぞ
木苺の棘につかまるかくれんぼ
ぐうぜんに席が隣で春到来
父似だと言われ続けて十三年
音が音追いて広がる大花火
親が言う聖夜の鈴は寝て待てと
あまがえる今日もおはよう顔なじみ
大掃除夏目漱石ご対面
お年玉袋もしっかりとっておく
ストレスをポップコーンに変える夢
運転手子供の視線も背にのせて
鉄砲の玉は全部どんぐりにして
静電気手の中の小さな雷様
湿ってくフォークダンスでつないだ手
守備中に打球を見ずに蝶を見る
グランドが雪にズンズン隠された
鉛筆が頭をひねるテストの日
スカートは面接日だけ長くなる
タンスからサンタの衣装見つけた日
ひまわりの大きな影でひと休み
私の心ただ今台風上陸中
父さんの笑えぬジョークで場が和む
ふとん干しついでに私も日光浴
幸せといっしょにつつむ卵焼き
素敵な王子大募集です宛て先アタシ
出身はきゅうりがうまい岩瀬村
くちびるがたらこになるまでラッパ吹き
通知票認められない黙秘権
寒い朝こたつの会議に猫の顔
太陽ものんびりのぼる秋の山
教科書の正岡子規に髪生える
テスト前寝ているネコに腹が立つ
本日の一番風呂はユズのもの
丸い宇宙中にはドレスを着た金魚
こいのぼり家族そろって空の旅
影伸びる小顔脚長理想像
数学と私の相性0%
スイカ割り私は割られるスイカです
あの的に飛んで行って私の矢
白い息いろんな朝の始まりだ
謎めいた円周率のような君
不器用な父の背中は大空だ
遅刻して血液型のせいにする
兄の目が優しくなった成人式
柿の葉のパズル模様の秋いっぱい
鬼の面かぶって福豆売っている
思い出を琉球ガラスに吹きこめた
藤だなでダンスしているくまんばち
手を伸ばし星のボタンに届くかな
恋もまた冬眠するものなのかしら
黒猫が目の前横切るテストの日
なれてない浴衣とぞうりとりんごあめ
ぽくぽくと耳で楽しむ雪の道
茶道部の和菓子を祖母に持ちかえる
地層のように歴史を語る新聞紙
歴史とは戦という名の戯曲なり
「熊が出た」中学からの連絡網
メール返して人参を乱切りに
恋をして嫌いになった日曜日
わがままが夕立のように降ってくる
父母というカラシとワサビ付いてます
春野菜鍋に散らばるピカソかな
たんぽぽが挨拶まわりするんだね
蝉しぐれパンツ一つの水あそび
すっぴん妻俺に心を許しすぎ
味付けは風雪まかせあんぽ柿
損したわ夢の中まで仕事した
携帯の文字に晴れたり曇ったり
暗算のできぬ店員春おぼろ
ハートだけ残しておきたい七並べ
Eメールたやすく海も越えてくる
レスキューのようにスルリと伝う蜘蛛
魚はねる月光の音したような
それぞれが違う時空にいる図書館
常緑の松はいつでもポーカーフェイス
洗濯の音もワッショイ祭りかな
ふきのとう腹式呼吸する地面
春うらら恋する乙女の力こぶ
方程式木っ端微塵に冬のカミナリ
弁当の隅にちんまり春の季語
ひなたぼこ忘れ上手は生き上手
エプロンを外して今日の主婦終り
欲深い願いに絵馬の咳払い
フランスパン背筋伸ばして春をゆく
電車の中携帯まるでつくしんぼ
白菜のヴィーナスのごと光りけり
三日月に輪投げしたいよ二度目の恋
追伸にやっと本心覗かせる
大切な事は聞こえぬ「妻の壁」
マスクして一部始終を見てゐたり
真ん中の席から埋まる冬電車
静けさや月と火星の大接吻
リュックから孫の一日こぼれ出す
星ひとつつまんで入れる秋の酒
しわの手もネイルアートの花畑
天高し虎刈りすすむコンバイン
じぃじ好きばぁば大好き日向ぼこ
どこまでも行けそう軽くペダル踏む
アロハ着ておれより若い案山子かな
じいちゃんも泣き虫だったよしょうぶ風呂
考えるロダンの凍る拳かな
七月の子どもはみんな木の匂い
義理チョコを妻がむしゃむしゃ食べており
雪達磨吾が家の門に天気図に
春光や五感のみちて美術館
豪快に散る九州の桜かな
朝が来た百をめざして今日もゆく
焼芋に女の歓喜じゃんけんぽん
シャボン玉約束入れて旅に出す
長靴を妻が共用春の雪
初硯色紙に絆と一字かな