伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十五回
審査員賞
テロテロと心配事がますばかり
「テロ」という怖ろしい言葉を二回繰り返すと、こんなに具合になるかと、教えてくれた句である。戦争、世界平和関連の句が多いなか、素直で新鮮な力を感じた。
サラサラと手からこぼれる砂と時間
玉川聡美さんの句はとても秀れたもので、ぼくは詩句とよみたくなりました。言葉の向うに深く大きな宇宙的世界がみえるのでした。
なの花はいろんな空を知っている
菜の花畑は春そのものの風景。春の空は変わりやすいが、その空の下で菜の花の黄色の花は春にとけこんでいるようだ。
墨の香に背筋伸びて筆にぎる
一筆入れる瞬間の緊張感が墨の香とともに伝わってきました。演技をする時、私も同じ気持ちです。
葡萄栗桃梨林檎銀杏は嫌
漢字ばかりの俳句は見た目に固くて「嫌」なのだが、果物や木の実となると温い。おとぎ話の雰囲気。
新聞を配る途中の初日の出
朝も暗いうちから新聞を配っていて、元日の東天に日の出を見たのだ。万象改まる日の旭と思うと荘厳である。
草むしり蛙がとんだ母とんだ
働き者のお母さん、それを笑いながら、からかっている息子。ほほえましい親子関係が好きでした。
人生を噛みしめている総入れ歯
素朴で飄逸で、噛めば噛むほど味の良さが出てきます。選考会で阿川佐和子氏が強く推していたので、かわりに私から審査員賞を差し上げます。