伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十五回
佳作特別賞
鼻曲がり鮭の新選組来たる
兄妹で中華饅頭見比べる
がらんどうの空の青さや落葉掃く
荒海や今日一日の海苔を抓む
通院の眼帯とれてぱっと春
さゞ波を誘う風あり花の昼
万華鏡シャリシャリ地球回転す
たてがみを梳いて少年卆業す
夕焼の底を見てきし赤とんぼ
しがらみの糸断ちがたし凧揚る
髙階に住みて近づくお月さま
一枚の毛布にイヴとアダムかな
山眠る村に仏蘭西レストラン
雪富士は天下無双の置物ぞ
桜貝子のてのひらは春のいろ
四月馬鹿貯めては使う貯金箱
いちまいの海へころころ春の琴
ジーンズの夏大股にやって来る
綿密に身を編んでいたへちまかな
法隆寺遠拝みして若菜摘む
竹とんぼ天国を見て舞い降りる
雪掻いて七十五歳頼らるる
植木好き子供大好きしゃぼん玉
またしても夏を乗り切る妻多弁
後悔の言葉の先に実梅落つ
大佛の慈悲八紘に子鹿の目
桜餅の匂ひを残こし客帰る
春昼の止まりしままの古時計
雨上る島は丸ごと秋祭
桃の花鳥語であそぶ幼児かな
恋の果て孫七人や鍋囲む
ゴム風船迷子の掌より逃げたがる
多摩川の闇かきまぜて稲光
重ね吊る絵馬からからと四温晴
枯野飛ぶ鴉と白いポリ袋
ポケットに泊まってゆけよ花の風
立冬の観音に似た主治医かな
夢の中までからみつく虎落笛
ふところに無用の乳房雛の菓子
廃校に今年限りの桜咲く
桜貝ふいに少女となる浜辺
菜の花や猫が留守居の駐在所
認識標付けし鴨くる日本海
着ぶくれて切符が先に通り抜け
豆腐切るように屋根雪切り落とす
十三夜隣も窓を開けたらし
折紙を解いてゆくよな大夕顔
帰燕また佛舎利塔に低く飛び
小春日や医師の注意を守りつゝ
北風がお化けだぞうと木をゆする