受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

黒潮を斜めによぎる青山河

奈良県 中浦 東洋司 63歳

秋高し馬の銅像に乗りたがる

茨城県 斎藤 玲子 64歳

七人の敵のひとりと栗を剥く

茨城県 早田 維紀子 64歳

マフラーに顎深く埋め人を恋ふ

埼玉県 吉田 俊治 64歳

なんとなく友が居そうな夜店の灯

埼玉県 守屋 昇 64歳

青蚊帳の中はとっても宇宙的

埼玉県 金子 功 64歳

鉤裂きの尻尾は父の鯉のぼり

埼玉県 野村 辰秋 64歳

夜の焚火冥土から来た二、三人

千葉県 谷川 凉子 64歳

啓蟄や扁平足で駆けてゆく

千葉県 青木 一夫 64歳

潮の香の残る捨て舟いわし雲

東京都 若林 アヤ子 64歳

朝露は富士山ひとつ携帯す

東京都 宮崎 冝和 64歳

淋しさを振りきるように泳ぎだす

神奈川県 中村 武彦 64歳

田仕舞の煙が包む無人駅

岐阜県 矢橋 郁子 64歳

蜘蛛の囲やただ今留守にしています

大阪府 日野 満子 64歳

夜といふ見えぬ広さや虫の声

岡山県 奥西 健次郎 64歳

蝿とまる地球儀いつも平和なり

青森県 阿久津 凍河 65歳

七草や幸せ七つ確かむる

青森県 吉川 富士保 65歳

風弾く中吊り広告夏はじめ

埼玉県 城戸 貴子 65歳

天職と胸張る友の秋野菜

東京都 三浦 靖男 65歳

休日のシェフやしみじみ目刺食ぶ

東京都 小竿 和子 65歳

境内の冬芽を起こすかくれんぼ

東京都 深澤 敬子 65歳

透明な瞼となりぬ花吹雪

東京都 菊池 博子 65歳

嫁ぐ日も母となる日も海女なりし

神奈川県 渡辺 一弘 65歳

我が影か貨物列車の最後尾

静岡県 鈴木 偲 65歳

恐るべき蝉の合唱今佳境

愛知県 木村 馨 65歳

喝采のはじまりさうな猿の絵馬

奈良県 谿 翠泉 65歳

毛糸編む思い出くるくる繰りながら

ブラジル 新井 知里 65歳

余齢とは見えぬ強さよ漁夫の面

青森県 福士 謙二 66歳

連凧のきしきし空の果てさがす

茨城県 成井 惠子 66歳

早春の矢切りの渡し暮れにけり

埼玉県 人見 正 66歳

あゆといふわかきひかりをつりにけり

千葉県 中森 夏樹 66歳

モニターで挨拶を聴く入社式

東京都 関 貢 66歳

故里はみな善人や梅の花

愛知県 古賀 美智子 66歳

ひまわりとなるまで酸素吸入す

京都府 阪野 美智子 66歳

陽炎や一両電車ふわっと消ゆ

岡山県 篠原 和子 66歳

名月を茶の間に入れて一人かな

ブラジル 嶋本 寛江 66歳

耳鳴りは宇宙の信号かもしれぬ

宮城県 松村 竹心 67歳

湯上りの子を拭いてゐる雛の前

岐阜県 後藤 昇子 67歳

馬肥ゆる大きいサイズ特売日

京都府 福井 忠男 67歳

天網の目よりこぼれて風花す

山口県 曽我 欣行 67歳

真っ直ぐに転がる春の音符たち

北海道 藤谷 忠伸 68歳

大袈裟に水揺さぶって芹洗う

茨城県 髙野 三千春 68歳

微笑みを分かち合ってる初鏡

千葉県 菊間 敏子 68歳

たわわなる梨のトンネルくぐりけり

千葉県 丸山 倉平 68歳

種あらば青きと思ふ水中花

静岡県 伊賀 和子 68歳

着ぶくれてゐても乃公出でずんば

兵庫県 辻本 勇 68歳

姿見に三尺さがって春写す

兵庫県 瀬野 昌枝 68歳

雛祀るうしろは風の通ふ闇

岩手県 佐々木 匡 69歳

本当は雲になりたい蝸牛

秋田県 村田 光雄 69歳

春風を双眼鏡に捉えけり

埼玉県 小山 忠治 69歳

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