伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十五回
佳作特別賞
ゆずれない僕の人生僕のもの
ジーパンに春がくっつく散歩道
極寒にちらりと見えた桃源郷
きみの手にホットレモンのある二月
夕闇にまぎれて手つなぐ帰り道
雪道に続く足跡我が人生
クリスマス今年はグラス二つ置き
秋の色パレットの上で混ざり合う
コウロギも電車に乗って一人旅
ありがとうママのお腹に来てくれて
あの夏に取り残された赤い靴
春風は私を過ぎてどこに行く
不透明あたしの未来と春の雨
ラーメンをすする夜空に冬の星
掌の願いを託した雪虫よ
珈琲と文字が恋しい神無月
あてもなく夢だけ連れて旅に出る
朝露に我が身を清める白牡丹
雪溶けて心のさみしさ溶けて行く
秋気澄む飛行機雲がど真ん中
覚えた言葉気がつけば私も同じ言葉
秋が来てリセットされた恋心
押し花を広げて冬の花畑
月灯り仄かに街を色付ける
青い海君が人魚に変わる夏
夕闇におしゃべり止まず雀の木
紋白蝶花の番地をたずね来て
妹と星座さがした夏休み
冬の日に安らぎ一缶握り締め
親指の腹を見つめて進化論
夕焼けに吸い込まれそうな赤とんぼ
待ちぼうけ月もあんなに高くなり
筆まかせ十七八の子規が好き
オルゴール少女の日々を巻き戻す
いつもより抱きしめられたい雪の道
参ったね空は子どもの動物園
チューリップ前へならえと保母の笛
空いっぱい踊りはしゃぐ花火たち
言いわけを考えたのはつくしんぼ
太陽を目で追う向日葵恋してる
ジーンズを洗えば春の青い鳥
波駆ける度に海からこぼれそう
幸せが日々の隙間にかくれんぼ
雨音を傘で感じて合唱会
お父さん親父と呼んで良いですか
懐かしのしゃぼんの匂い母恋し
冬の朝白い吐息が風に舞う
母がいる田舎の冬はあったかい
好きだけど大好きだけど届かない
あの人に渡しそびれた夏休み