伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十五回
佳作特別賞
手袋の先があまりて笑う君
虹の道遠くの噴水つくり出す
ダイビング我を忘れて魚になる
お雑煮の餅は幾つと母が聞く
愛犬と見つけた小さな花命
妹と遊んで終わるクリスマス
あやとりのように複雑十四才
目と鼻を忘れた白い雪だるま
風そよぐ街の公園春の匂い
くもり空誰か落とした目玉焼き
卒業式思い出編み込む花の冠
冬の木は父の頭によく似てる
青い地球その片すみに僕がいる
夕立が土のにおいを運んでる
燕の子空の広さをまだ知らず
推理小説の謎を煮込んだなべ料理
たいくつないぬがみているひつじぐも
手のひらの防具の臭い朝自習
待ちきれず季節はずれの服を買う
淋しさは保存メールになったまま
居眠りをするのは心が春だから
鼯鼠があの木この木と飛ぶ霜夜
小春日やこぐ手かさなる車椅子
輝いて天にまたがる冬北斗
初詣小さなすそがゆれている
田舎にはいい正月があるもんだ
さりげなくハイビスカスを髪にさし
友達をあだ名で呼べず春終わる
初日の出オレンジ色の大海原
ゆずの実がたわわに実る祖母の家
幸せは母と二人で飲むコーヒー
日記帳自分の色に染めていく
君の顔ちょっと違って見えた夏
ブランコを大きくこげばおとうとも
父が吹く子が追いかけるシャボン玉
マフラーを耳までまいた受験の日
くたくたに疲れてしまったケシゴム
ビル風は私の鼻を赤くする
海の色消えつつ秋刀魚焼きあがる
バス乗り場鳩にえさやる運転手
夕焼けを横切っていくカラスたち
お守りを信じて待てば桜咲く
おもいきり投げた希望の五円玉
夏の星落ちてくるかと手をかざす
れんこんの穴をのぞくと雪けしき
ポチの家毛布とボールだけ残る
かきの実は冬の空気を光らせる
夕焼の大空うつす桜貝
先輩の気迫を一目武者震い
暗がりに花火師の手は休みなく