伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十五回
英語俳句の部 大賞
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A dandelion
while standing on tiptoe
waits for the wind 訳/ タンポポ 爪先立って 風を待つこのタンポポは黄色い花の状態ではなく、開花後、実を結び白い冠毛の生じた、いわゆる絮の毬となっている。種子を飛ばそうと、しきりに風を待っているのだ。第2行の“standing on tiptoe”が草の身となっての生き生きとした表現で見所だ。
英語俳句の部 優秀賞
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A summer breeze
running through the sea
pulled by a bird 訳/ 夏のそよ風が 海をわたる 鳥にひっぱられて -
a spring morning
winds flow with the sparrows
the swelling curtain 訳/ 春の朝 雀たちと一緒に風が流れる ふくらむカーテン -
Dyed red
by sunset
crab and the sea 訳/ 入り日に 赤く染まった 蟹と海 -
dog days ―
the mountain’s shadow
smells of resin 訳/ 夏の盛り― 山の影に 松脂がにおう -
An icicle
piercing the eave’s shadow ―
full moon 訳/ 氷柱がつらぬく 軒の影― 満月 -
to be out or
not to be out
― February buds 訳/ 出づべきか出でざるべきか 芽の二月 -
Winter evening ―
the white canvas disappears
stitch by stitch 訳/ 冬の夜― 刺繍の白い地が ひと刺しごとに消えていく -
An owl starts hooting ―
village bakery’s smells drift
over the forest 訳/ フクロウが啼きだす― 森のパン屋の匂いが 森にただよう -
house sparrows
in the new seed bed ―
dust bathing 訳/ イエスズメが 新しい苗床に― 砂浴び
英語俳句の部 審査員賞
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awaiting the test results ―
rings on the pond
from falling leaves 訳/ 試験の結果を待つ― 散る木の葉がつくる 池の水輪鎮めようとしてもどきどきする胸と、眼前の水面に静かに広がる水輪とが微妙に照応する。心理的に深い句である。
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a dry leaf ― comma
berry of dog-rose ― fullstop
― autumnal spelling 訳/ 乾いた葉―コンマ 野茨の実―ピリオド 秋のスペリングこの秋を思わせる俳句は、新しさと古さ、現代と伝統、を創造的に混ぜ合わせている。comma, fullstopといった用語を使い、意識的に5・7・5の形式を作り出している。
英語俳句の部 後援団体賞
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the wind in spring
has new determination
blowing on the cherry-lined boulevard 訳/ 春風が 新たな決意で 桜の並木道を吹くいま花盛りの桜並木を、ときに強く吹く風は花を散らしてしまう。そこに風の思い切った意志を認める作者の感情移入の句。作者の若々しい精神が背後にうかがわれる。