伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十三回
都道府県賞
大阪府
さむい朝赤信号みないかり肩
あの曲で私の夏が蘇る
渡り鳥には見えている空の道
しんがりや顔中で飲む岩清水
兵庫県
植えた田にふたごの山がうつってる
ポケットに手をつっこんで春を待つ
柔道着すべての青春すいこんだ
鷹匠の看板もあり五味の市
奈良県
父が言った昔の川は泳げたよ
世界遺産見ながら通う通学路
少年が夏といっしょに脱いだシャツ
異人館なかの一間の青簾
和歌山県
目の前をわたり鳥とびブレーキふむ
おじぎ草あやまられたのであやまった
「林檎」ってついに書けたぞ次レモン
鈴虫が鳴けば人声静まりぬ
鳥取県
木枯らしが手袋の中通りすぎる
しんしんと雪降る中に新芽かな
ばあちゃんの昔話にモノクロ景色
恋占い相性ぴったり元彼と
島根県
アオバズクじっと見ているぼくの顔
氷かきいろんな顔に染めてやれ
あるといい心が見える虫メガネ
たこ壺の口が鳴りそう秋の風
岡山県
雪降れば授業変更雪合戦
塗りたてのペディキュアの赤夏来る
震度３雛も扇を落としけり
白粥の中より立ちて秋の風
広島県
身をかがめ母と寄り添う傘ひとつ
人すべて笑顔の世界がきてほしい
速球を打って夏の児脱皮する
我が家まで持ち帰りたる盆踊
山口県
大根がシャリシャリいってきられたよ
ぶらんこをおしてかけ去る冬の風
夕立を追い越して着く海の駅
梅の花あれは桜と言う少女
徳島県
妹にまけるふりするカルタとり
かんひろいひもを通せば巨峰のよう
母の味足しても引いても割り切れず
母の日やいびつなにぎり飯並ぶ
香川県
夕暮れに切り絵になった母子かな
洗濯のたたんだかたちが母の色
聖戦と言う名で奪う子の未来
一秒が惜しくて駆けてきたほっぺ
愛媛県
おかえりと奥から聞こえる母の声
山彦と遊んでやるか午後三時
戦争の新聞の上柿を剥く
菊いじり男にもあるひとりごと
高知県
桜咲くこれからあたし再出発
茶を入れる母の背中を見てる父
不器用なその優しさがあたたかい
合格の絵馬の形のパンを買う
