伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十三回
審査員賞
手ぶくろをわすれた友に一つかす
僕が小さかった頃、本当に寒かったんです。子どもは風の子って言われるけど、半ズボン履いていた時代を思い出した俳句で素直にイイナって感じました。
水道水ごくごくとのむ早い早い
のどの奥に流れていく水と、管のようになった体が融合しています。乾きを癒す元気な姿を描いて見事でした。
心とは先の見えない夜の道
先がみえないものであるなら、まず心の中で自らに問いかけ、或いは人に話す。そして、結局は自分で納得することが大切なのです。この句はそんな大きな重さを持った句です。
「実はオレ」とあらたまって言う家族会議
季語なし、字余りにもかかわらず、妙に印象的でした。に非常の何気ない一言を上手にとらえ、その緊張感が笑いを誘います。
夕日の赤それは私のやる気の色
率直に、収集して俳句にしたため、句戦隊が生きものの体のように生々しく息をしている。頼もしい。
公式は眠たさ誘う呪文です
この句の作者は、数学が苦手なのだろう。呪文は密教・修験道・陰陽道などで唱える神秘的な文句のことだが、高校生の実感がこもった面白い一句だ。
竿を拭く母は今にも翔ぶだろう
元気のいいお母様が、嬉しいのと同時にちょっとウンザリ、青年になった息子の、母を見る目が面白かったです。
少年に桃に孤独な種がある
生きとし生けるものには種があって、孤独にもまたかたい種があって、少年と桃がどこかで繋がっていて、地球は切なく美しい。