伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十三回
佳作特別賞
親父の背中いろんなものがつまってる
白鳥のアクロバットを見学中
天の川泳いでみたい犬かきで
何気ない場所が子供の秘密基地
三月の少し切ない「また明日」
先生と流れる雲と問題集
「ごめんね」の代りにくれたお~いお茶
サングラスかけた瞬間変わる夏
七十歳稲刈る体たくましく
地下鉄を出れば炎天ビルの街
宝船七福神がクルーかな
柿の木が猿に襲われ丸ぼうず
新米は一粒一粒ピッチピチ
ふうりんがいやよいやよと風つくる
受け継いで父のギターを弾いてみる
みかん食べ口に広がる新世界
だんだんと透き通っていく寒さかな
じいちゃんが育てた大根ひっこ抜き
はち切れん思いを乗せてきっぷ持つ
茜空幸せ感じてのびる影
美しく降って雪国出来あがる
うれしくて隣にいるのにリダイアル
空の雲土手の犬たち寒がらない
あの女性に逢える気がする今日の風
クーラーをつけないでいる終戦日
突然の夕立ショパンをかき消しぬ
初詣今年も隣に君がいる
弱虫をアルバムに綴じ天高し
荒波にのまれるなと説く卒業式
花のいのち大事にしたい自分がいる
苺狩りスカートをはいてみたりして
残業の褒美は夜空のダイヤモンド
ストレスは笑うとほらね軽くなる
マネキンの誰より早い衣替え
去っていく君の心が読めぬ夜
君の字の葉書を幾度も読み返す
お茶の湯気 雲になるよと 子らが言う
愛された記憶が今日を紡ぐ糧
ぼた雪に紅おぼろなりななかまど
似顔絵が曖昧になる父の日よ
俳句では 収まりきらぬ 思いかな
恋愛の掛け違い笑うボタン花
音のない花火が好きな二十代
鳥の声つかまえに行く夏の空
春風に色とりどりの香あり
二人きり無口な父と映画観る
父立つと楷書のような台所
庭摘みのハーブしゃりりと風も噛む
母さんのバカッと泣いた鰯雲
何よりもよく効く薬母の声