伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十三回
佳作特別賞
桜の木早く晴れ着を着てちょうだい
四月から反対に曲がる通学路
父の日もつゆの晴れ間も働く父
米をとぐつぶの大きさたしかめながら
花たちよどんな気持ちでちっているの
清水寺人の津波にさらわれる
大嫌い言えば言うほど好きになる
ヒヨドリに子育て学ぶ家の母
メル友は単身赴任のお父さん
花ふぶき母をかくした夜桜よ
モチ食べてビヨーンとのばそう成績を
海の水塩になりそうな暑い日だ
しゃぼん玉生まれてすぐに旅に出る
風りんがくらげに見えるこの暑さ
ただいまと帰った父のくもり眼鏡
巣の下でツバメと春を待つ私
トンネルを抜けておどろく猛吹雪
森林があってこその青い地球
うめぼしがみんなのかおをとがらせる
ねぇみんな「自分が好きだ」と言えるかい?
暖かいナベのむこうに父と母
さらさらと草の音色に朧月
一瞬をきれいに生きるしゃぼん玉
神棚に真空パックのかがみもち
しょうのうのにおいでおもう母の顔
闘牛場つばめがひらりと身をかわし
お年玉早くほしくて正座する
まどふきで来年の顔見えてくる
北の町星の大群せめてくる
動かない私の夢と北極星
それぞれの朝が始まるエレベーター
もみじ原色に体を包まれる
鉛筆で描ける富士山もう冬だ
しかられて風が心にしみました
画用紙に絵の具がにじみ夏の空
朝つゆがダイヤモンドに似てました
弟はおれの年だと暴れ馬
厄年の父と一緒の初詣
木枯らしに負けじとシュート先制点
弟ととろけた表情で遊ぶ父
シカゴより先生来たる冬の虹
温暖化雪だるまたちもリストラか
大正の祖父の歩きに追いつけず
バレンタインお父さんには試作品
ピアノひく私の指は風のよう
体重計乗った直後にムンクの叫び
美術の絵自分の心が丸裸
かれた木があって成り立つ山景色
初日の出拝みそこねてふて寝する
春の風耳の奥まですきとおる