受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

老犬と犬語で話す日向ぼこ

神奈川県 岡部 晋一 63歳

赤とんぼ単語のように止まる石

埼玉県 遠井 雨耕 64歳

目の力抜いて八月十五日

大阪府 嶋澤 喜八郎 64歳

金魚売る袋の水のまろきかな

北海道 伊藤 偕幸 65歳

唐辛子吊るし貧乏しています

千葉県 横山 久香 65歳

玄関に春が来ているベビー靴

東京都 堀部 節子 65歳

ヨット少年もっとも雲に近くゐる

神奈川県 佐藤 浩子 65歳

雪が降る他人ばかりの本籍地

秋田県 藤原 洋子 67歳

雪国が好きで雪とは戦わず

福島県 白岩 賢次 67歳

残る柿落としますよとからっ風

岐阜県 内田 孝吉 67歳

会社去る猫脊の脊に花吹雪

東京都 坂東 弘之 68歳

音たてて星座満ちくる穂高岳

長野県 中澤 明 68歳

ぶらんこに蹴とばされゐる富士の山

静岡県 松下 訓子 68歳

津軽の色になるまで林檎みがく

愛知県 青江 眞智子 68歳

イソップの日が照りはじめコートぬぐ

兵庫県 平尾 弘子 68歳

少年に主将のリボン夏に入る

兵庫県 大西 正一 68歳

万緑の奥からとどく応援歌

北海道 江川 久洋 69歳

二階には二階の暮しさんま焼く

大阪府 中村 喜代子 69歳

妻の置くお茶のリズムの五十年

北海道 宮川 宗規 70歳

真っ直ぐな水仙だから怖いんだ

埼玉県 沢井 三柳 70歳

いが栗をサッカーにして下校する

北海道 大野 秀夫 71歳

遠吠えの細く消えゆく寒の月

群馬県 栗﨑 隆 71歳

凧上げて日本の空戻しけり

千葉県 宮本 径考 71歳

切り口のそろふ水菓子夏座敷

神奈川県 上野 滋 71歳

カットグラスに朝日届きしさくらんぼ

愛知県 一上 ふみ子 71歳

地雷なき野にきらめいていぬふぐり

東京都 石川 正幸 72歳

残照にわれも花野の彩となる

神奈川県 池内 英夫 72歳

地雷なき田に爪立てて草を取る

大分県 衛藤 巌 72歳

売れ残る金魚大きく育ちけり

栃木県 石井 平弥 73歳

おとうとに伝言がある寒雀

千葉県 西秋 忠兵衛 73歳

琴座から白い音符の流れ星

東京都 世古 正秋 73歳

水仙をかばう庭師の脚さばき

岐阜県 山口 進 73歳

冬桜手話で見送る交差点

埼玉県 筒井 伊豫 75歳

全身をつつむ青葉に山仕事

兵庫県 吉田 久寿亀 75歳

聴診器まるめてただの風邪という

福岡県 大草 正典 75歳

風船がするりと自由求めけり

群馬県 栗原 英也 76歳

燕来る用意のありて美容院

兵庫県 土田 祐子 76歳

年賀状幸せそうな声がする

静岡県 東崎 愛子 77歳

もてなしの新茶に添えし国訛り

福岡県 志村 美子 77歳

紫陽花や色の異なる人に逢ふ

神奈川県 中村 智栄 78歳

自転車を歩かせてゆく桃日和

静岡県 山本 謙一 78歳

昼厨ぱきぱき剥がすキャベツの葉

大阪府 大井 琴 78歳

放水のホース一直線にのびて夏

兵庫県 竹島 清歩 79歳

残さるる皿のパセリも影をもつ

埼玉県 田村 正二 80歳

海釣りの竿一列の日永かな

兵庫県 馬場 太平 81歳

難しい漢字はかなで春便り

埼玉県 福田 町太郎 82歳

草原に大の字に伏せ地球抱く

京都府 葉山 要子 86歳

減反となる田を守り老いにけり

富山県 小林 要 87歳

弁慶もほのかに匂ふ菊人形

福岡県 高木 桃水 87歳

野の雪に転び大きく笑いけり

栃木県 荻原 枯石 91歳

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