伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十三回
佳作特別賞
カバの上パンダの上に木の葉降る
何色でいてほしいかと虹がきく
大きい目小さい目にも冬の星
金メダル味わい深き孤独かな
夏惜しむ山の哲学海の詩
汗かいているから本気かも知れず
住宅ローン家を背負ったかたつむり
真ん中で手足投げ出す夏座敷
秋刀魚焼く母が忍者のように見え
きりふだは昔もらったラブレター
庭の猫プクと小さな咳こぼす
わらびわらびここにもわらび笑っちゃう
職退きてリバーシブルを裏返し
怒ってる時だけ自分でお茶入れる
叱られて童話のような月ひとつ
くしゃみしてずり落ちそうな屋根の雪
名月やかわいくなった母てらす
携帯電話天高すぎてつながらず
この冬も家族ごっこの鍋囲む
凍返る空かきまわすヘリコプター
卆寿の日小さな小さな母に会い
薄氷をこわさぬやうに教室へ
凩に猫も早めの帰宅する
秋空を蹴って少年とんぼ切る
てふてふと書けばやはらかさうな空
寒がりの母たまねぎになってゆく
車窓より桜樹多き街と知り
父の日の母が語りし父のこと
梅よりも和服の人に目が移る
向日葵のいくつ咲いても過疎の村
寒風に向かいたてがみ欲しくなる
少年の主張のような冬木立
蟷螂や赤信号のド真ン中
幸福も羽毛布団の軽さ程
夫いてお茶お茶お茶と日が暮れる
初夢や思い出せない手を繋ぐ
病院の中庭せましつばめの巣
熟年のパソコンに向く冬の夜
ひとりでみるから淋しいテトラポット
リストラで我慢おぼえた靴の底
恐かった天井の節今もあり
逢うとまあけんかもするが君が好き
福は内怒りを捨てて笑みを足す
図書館にバスに私の指定席
江の電の窓から春をわしづかみ
うしろから何か出そうな夏の雲
花粉症らしき鴉とすれ違う
連なりし目刺しにもある一呼吸
銀河より水こぼしおり流星群
白障子閉めれば部屋の秘密めく