伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十五回
佳作特別賞
風がふく私の桜とらないで
トロンボーン時を刻んでのびる音
試合前緊張しながら畳敷き
花ふぶきふりかえっても誰もいない
祖母秘伝今年は私も梅仕事
海の中潜ってみると水族館
遊ぼうよ天道虫が指の上
寒い朝一人で向かう体育館
夕暮れ時雨のように飛ぶとんぼ
目を細めゆれるしっぽと日の光
おみくじで決めれるもんか我が一年
星をみるバイト帰りの白い息
向日葵や見えなくなった祖母の影
溶けまいと心を燃やす雪だるま
雪うさぎ後ろを向くといなくなる
上を向き歌いたくなる秋麗
ゆで卵母の気分で半熟に
大寒波通勤通学最難関
東京の空で彦星迷子なり
小寒やコピー用紙のあたたかさ
ミニトマト母と育てた小さな陽
十月の砂浜に字を書いてみる
積雪に挑む登山家我が子5歳
仕送りの緩衝材の冬衣
春昼や皿をはみ出すパンケーキ
いつまでも初音の名残のある故郷
春愁の想いはいつも独り相撲
春一番揺れる飛行機とお守り
電柱が右から濡れる夕立かな
カーテンもよく乾きたり大西日
八重桜こぼれそうにお辞儀する
新聞の届く幸せ雪解川
新年度今朝はベーコン厚く切る
風薫る北海道の深呼吸
ミニトマト元気なへたがおにのつの
地図はないどこに向かおうぼくの夏
満月が自分の体重気にしてる
とまらない小さな口はぶどう色
ばあちゃんがいれる新茶のいい香り
足跡を追って探偵冬の朝
瀬戸内の浜辺に暮らす白日傘
春の風音符のクリップすりぬける
木も鳥もひとつ年取り初山河
ドンとなる花火か僕の心臓か
寒桜ため息ついて同化する
古書捲る献辞と眠る春の果
カラフルな風が見送る春の駅
台風の目に目薬のひとしづく
夏草やバックホームの間に合はず
春の窓しあわせのカケラふいている