伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十五回
佳作
ウトウトと英単みながらガタンゴトン
「歯が生えた!」クルマにつららビデオの私
花火より探してしまう大きな背
かくれんぼ自分から出る初日の出
受験生時計と共にお正月
年越しの瞬間でさえ単語帳
ボリボリと食べてしまった千歳飴
静電気髪の毛まるでライオンだ
星屑を眺めて明日の夢を見る
たい焼きを二つに割れど食うは一人
年の暮れ家電の札の赤いこと
年賀状恩師の姉妹成長記
動物の小さな命温かい
文化祭余韻に浸る破裂音
三人の友達減った新学期
初日の出まぶしい太陽光る未来
凍えた手一人手に持つ英単語
更衣自分の心変えるとき
初詣大吉ひくまで帰りません
春惜しむまだ似合わない学生服
お正月少し目線が高くなる
甲虫近くて遠い木の上に
夏の宵まだ冷めていないアスファルト
梅雨の雨逆さの街が窓につく
たんぽぽや私が猫なら連れて行く
「指切った」外国人がこっち見た
日陰から日向に変わる君が好き
スーツには希望と不安挑む春
合格は終始定めぬ通過点
雪降るや亡き犬駆ける姿あり
バイトやり初給料でおもてなし
初留学心にしみるミソスープ
親がかりいつか花咲く燕子花
寝転んで明日の自分に期待する
立ち漕ぎでつくば産まれの風を飲む
梨むいて皮の長さ新記録
机に赤本空にリゲルの星
手袋が隔てる距離に冬恨む
菜種梅雨微睡の中に沈む街
散る桜天をあおいだにしきごい
ブランコをこいでとべとべわが靴よ
旋律の聞こえる職員室のぼく
毎日の日記を書いて振り返る
去る独身寮残る入社時のワイン
新雪に最初の一歩罪の音
桜餅せっけん匂う手でつまむ
疲れたと素直に言えぬ反抗期
我が句いづこ毎年眺める茶のラベル
両頬がほてってふたつの国旗かな
そよ風は辞書の角から秋桜