伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十三回
新俳句フォトの部大賞
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切れかけた蛍光灯を置いて行く
写真は学生生活含め5年半住んでいた岡山から婚約者の待つ兵庫に引っ越す際、トラックを待っている間に撮影しました。大学生活は全てが順調ではなかったのですが、そんな自分を受け入れてくれた部屋で、インテリアに凝るようなこともなく、蛍光灯も途中から切れかけていたのになんとなく放置してしまったが、いざ引っ越すとなると実は愛着があったんだなと感じて、その想いを写真と俳句で表現しました。
誰もが人生の中で経験する引っ越しのような写真や俳句にしないところに視点を向け、その時のちょっとした気持ち、気づいても俳句にするかという際どいところを表現している。見過ごしそうな話であるのに、でも人生の中のいくつかの句読点の中に入れ込んできた作者の感受性の豊かさというか、個性が感じられました。このような情景を言葉に残すのは俳句の技の一つですが、人の心に印象を残せる作者の人柄が好ましい。写真も凡庸に見えますが、実は結構神経使っていて、人物の顔が映ってないのも技がありますね。俳句と写真のディテールが、ものすごく繊細でありながら無理なく非常にすんなりと入ってきます。〈浅井 愼平〉
新俳句フォトの部優秀賞
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絵日記の「。」を覗き込めば海
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蠟梅を嗅いで配達人帰る
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汽笛泣き煤や棚引く牡丹雪