伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十三回
佳作特別賞
家系図の俺の一生3センチ
髪を結うこれが私の切り替えスイッチ
稲刈りのリズムを刻むコンバイン
窓開けて肌に刺さる空気の針
友達と魔法使いになった夜
陽炎と夜を纏った秘密基地
まだ熱い地面に座り揚花火
稲刈りを終えて眠るは藁の上
天泣や切手の端の端に秋
やはらかく子を抱く母や桃熟れて
八月や錆びた蛇口のみづ光る
書き初めの想い新たに太い文字
草餅の匂いの上に居る野原
捲るたび春風を生む参考書
つばくろの口の数だけ闘志あり
八月や手に千代紙の鶴のせて
朝霧に息をほどいて太極拳
卒業でさみしいつくえに光さす
青空をこぼし棚田の水を張る
じいちゃんのラーメンうまいふゆ休み
日がのぼるうみでからてのかんげいこ
なわとびのかいすうかぞえゆきのなか
たけのこはにょこんとでてるいいきもち
ソドシラソけんばんの上でゆびおどる
木のえだにわたしのたこがとまってる
トラの絵がむずかしかったよ年がじょう
大みそかいつもとちがう手うちそば
出発だページをめくれいざ旅へ
水田が黄色にそまる秋の日々
おさがりのセーター兄のにおいかな
けん玉で父にいどんだお正月
ひこうきに食べられちゃうぞいわし雲
飛んでいる葉っぱが意思をもちだした
寒すぎてカイロが負けた十二月
正月についたあだ名はねはん像
そびえ立つ畑の番長かかしさん
白鷺の羽音に溶けし春の風
灯火に片思いかな金亀虫
桜の木目に見えるもの暖かく
元気かなインクにじます年賀状
投げた球夏へ向かって一直線
指凍るテニスボールの空気入れ
夕焼けに少年団の声響く
落葉寄せ色とりどりのトランポリン
終業式浮いた心が転ぶ夏
桜舞う手と手を合わせ句読点
新緑と私が作る山の音
帰り道九九を唱える蝉の声
ボス猫のこたつに空いた指定席
牛の声雪に埋もれる重低音