伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十三回
佳作特別賞
オリオンを結ぶ指先つかまえた
足音はトランペット金木犀の息
握手会３０秒の大恋愛
どんぐりを我が物顔でくれる君
手のひらの百人飲み込む面接日
心だけ磁石になった片想い
単線でかき分け稲穂の波に乗る
春休みひんやり廊下がよそよそしい
蝉時雨杜が静まる隠れんぼ
春のいぶきに似た嬰児のいびき
前かごに威風堂々九条ねぎ
パンの耳揚げてハチミツかけて春
息をのむ花火のような曼珠沙華
春を待つ冬芽がまるで私たち
冬蝶といふ生き方を模索する
年初め市松模様のＷＥＢ会議
打ち上がれ花火と二年分の夏
おみくじが値上がりしてた初詣
老眼や賞金額は良く見える
セーターの編み目揃はぬ片想ひ
ドア開く五十センチの寒戻り
三寒の四温来たるか転職後
鬼やらひ寺の羅漢の百面相
包みひもほどいて里の秋がもれ
声高に冬を伴う浜の潮
春の来る方へ転がる五円玉
初春や御朱印帳に判一つ
墨の色半紙の上のおたまじゃくし
ライオンと目が合う私えものかな
ヒマワリがお話会を開いてる
大そうじ光る車にぼくのかお
花火って何色あるの数えよう
雪残る何度も捕球あたたかく
冬休み鉛筆と共に丸くなる
もちに乗る王様気どりのだいだいだ
薄氷に乗ると感じる足の先
雪がふり頭の上がにぎやかだ
石だたみけんけんぱーの初もうで
学校のろうかはいつもなんきょくだ
冬の風廊下を動く龍のよう
オンライン上は制服下パジャマ
帰り道この夕焼けは一度だけ
クリスマス睡魔に負ける三歳児
タグ付きの新品ベスト入学式
向日葵が下を向くまで遊ぼうよ
おまじない桜三枚恋叶う
寒椿はらりと落ちるまとめ髪
初夢の記憶の扉さびている
虫たちの眠りが解けて春が来た
年賀状友の正しい名前知る
