伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十五回
都道府県賞
愛知県
鬼は外そっとママにもかけちゃった
紫陽花は涙をふいて咲き続ける
ブランコを漕いで蹴飛ばす茜雲
春の芽に負けじと育てお腹の子
立春の土の匂ひを軽く踏む
三重県
うぐいすが鳴けば自分もすがすがしい
足あとでいたずらばれた雪景色
降り積もる落ち葉の如き恋心
お乳飲む力強さがうれしくて
冬休み大人の顔で帰省する
滋賀県
陸上部かげろうの上走ってる
中吉で迷子になった初もうで
黒板の緑にはえる祝卒業
土踏まずほぐして歩く秋の山
春うらら風車もあくびしています
京都府
前髪が言うこと聞かずそっぽむく
桜散る長めの服と次の道
古都の香や迷子を楽しむ昼下がり
待望の春一番に道譲る
柿熟れて村中甘くなりにけり
大阪府
馬走る心も走る僕走る
グラウンドに残る白線残暑かな
コスモスをそっとさし出し仲直り
我が子抱き父への感謝溢れだす
いつの日か巣立っていく手の温かさ
兵庫県
春の風次へのとびらが開かれた
大根に育てる私が育てられ
手で書く字いつの時代もあったかい
永き日や心の声を聴く書展
夫婦の和百六十歳の春来たる
奈良県
雪ふれば私の足がスタンプだ
わたり鳥心をつなぐ手紙かな
暑がりのアゲハが休む鹿の角
おやじ似の入道雲がにらんでる
小春日や竿に腕振り踊るシャツ
和歌山県
春風に希望いっぱい種をまく
さざんかが満開になり葉をかくす
二十歳なり母子でほどくしつけ糸
筑前煮ちくわとこんぶがこんにちは
凧揚げて空とつながる親子です
鳥取県
新米はおじいさんのだいけっさく
きっかけは私が落としたペンケース
電話越しあの子の息もきっと白
旅の宿何歳になるや古こけし
稲穂見る農夫の背なにある自信
島根県
ひらひらとゆれるこのはの音がする
ゴロゴロと親父のいびき雪起こし
眺めてるあいだに乾く桜餅
正座してこたつの上で宛名書く
手を繋ぐ二人横目に鯉弾む
岡山県
頑張れと我に語れる除夜の鐘
りんごあめ記憶がまるく溶けてゆく
大晦日弱い自分を置いていく
その腕に子を抱く友は母の顔
夏休みラジオ体操半世紀