伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十五回
佳作特別賞
新緑の十字の絆に手を合わす
深呼吸二年目の春定期買い
今日もまた触ってみたいつるしがき
遅れたるマフラー合同説明会
めくるめく季節と我に時差がある
花野より言葉の戻る二人かな
踵からどぶんと浸かる春の香
桜散る風の行方を見せながら
どこまでも飛ばせ福豆夢咲かせ
ビルの間のクレーンの先っぽ月座る
腹を蹴る小さな命春の足音
気がつくと冬の匂いがもう来てる
夕暮れが稲穂の海に溶けていく
鉄塔の影持ち上げてさくら咲く
桜坂ふわりと揺れる後ろ髪
山深し祖父母の家は銀世界
公民館昔と変わらぬ放送曲
実家から届く荷物は芋だらけ
雪解けの音をリズムにあやすかな
雨上がりころころはずむランドセル
白いゆげ向こう側には好きな人
教壇に立ちて土筆の萌ゆる春
いつもより背伸びしてみるフリージア
恋す蝶紫式部にとまりけり
あいしてるなんていわない猫の恋
蝉時雨遠く聞こえる下り坂
釣り上げて伝わる命桜鯛
雪解けの思いを馳せて続く路
虫の音を優しく包む十三夜
白銀の東京で買うサングラス
ギター弾く手のしびれから冬を知る
あはははは寒さ吹き飛ぶ大爆笑
冬の風歓喜と憂いが交差する
ふくふくと笑う猫見てあたたまる
シンバルを叩く刹那の君が好き
北窓を開いて命の匂いかな
まっさらな雪のノートにプロポーズ
窓際は午後２時からの昼寝席
赤道の三日月沈み春の空
愛猫が反り返るほど春うらら
寄り添った心と共に重なる手
両脇に家族が寝てる幸せだ
君たちを見送る袴に桜咲き
あなたへの思いの分だけ髪切って
茶柱を立ててあげたい冬の空
蝉時雨負けじと走ったあのコート
また来たか雪の流星窓叩く
冬空を仰ぐ小さき瞳かな
夜空にはいくつもの詩の流れ星
ロケットに乗る蛙まで探検家
