伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十五回
佳作特別賞
雪明かりたよりに急ぐ帰り道
最寄り駅握った切符冬の町
しゃぼん玉かわいい声とおにごっこ
豊作に胸を躍らせ稲を刈る
目が合って直ぐマフラーに顔うずめ
君からのメールの返事春の風
おみくじの一番気になる恋愛運
満月が近く感じる帰り道
雲の峰麦藁帽子空を見る
髪切って景色も変わり春も来る
結婚を控えた兄やお正月
風を切り走って過ぎる三年間
トスあげたボールの向こうに広い空
親友は磁石みたいで不思議だよ
静寂と虚無感かよう冬の道
ホワイトデー僕は君の電波塔
ゆきだるま溶けてく姿は見てはだめ
生まれた日みなが桜と呼んでいる
通学路小さい春が増えていく
絢爛の寒椿に思うこと
青い木々両手広げてとおせんぼ
数学よ共に過ごそう正月を
鰯雲地に寝転んで釣りをする
里帰り姉はすっかり異国人
英単語金木犀の風に乗る
金魚すくい捕るも捕らぬも紙一重
桜舞う今日から一つお姉さん
速達は届いているか冬隣
フェンス越し心の奥に朧月
夏休み肌を焼くのも仕事です
旅立った貴方に一つ春の風
生きるとは何なのだろう蟻たちよ
早朝に迷子の月が浮かんでる
春風に出会いの予感思わせる
手袋を分け合う子ども風の中
凍雲と同じ顔した成績表
梅雨の日は友との距離が遠くなる
パーマかけかわいくなったブロッコリー
冬の空のぼれるタコのたくましさ
大勢が丸い背中で鍋囲む
雪だるまずっと誰かを待ち呆け
満月をぶらさげている裸の木
せみの声七日限りのプロポーズ
星見上げ涙を流す留学生
若草のにほいかすめる雨上がり
下駄箱もクラス替えする新学期
色うすい青いシャーペン鰯雲
寒空にどんと明瞭お月様
道場の凍て付く板がきしむ朝
雪の中袖振る姉の晴れ姿
