伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十五回
佳作特別賞
冬にやせ春に肥えてく山の木よ
西日差す教室残る笑い声
正座して自分の足は発電機
玄関で留守番してるかがみもち
マスクする君の素顔がかくれんぼ
真っ白な足跡君はどこ行くの
しゃりしゃりと霜柱ふみのびをする
流氷のうごく速さに春来る
ありさんは色んな物をかつげるの
夏祭りあなたとともに一夜の夢
白鳥が人を救いに町を駆け
朝顔がうちで一番早起きだ
パチパチと僕に噛みつく静電気
青空にまぎれる桜髪かざり
燕の子私の歳だけ増えたかな
弓道部日々のストレス的にする
試合前ふとさがしてみる流れ星
駆けだした夕日が窓をはみ出して
春色の花びら覆う石畳
バスに乗り変わらぬ情景今日も冬
ふきのとう一年生と顔を出す
砂浜で駆け出す君は檸檬かな
星空がとてもきれいだ冬の海
枯れた木々向こうの空が見えている
寒月を見あげたときの金属音
女子校で何も起こらず夏が過ぎ
澄みきった大気を従えオリオン座
うわばきを洗って二月の入試待つ
音痴でも歌手になりきるバスタイム
窓の外月が一人でかくれんぼ
雪夜二時地球の鼓動に耳澄ます
妹の横顔真剣受験前
いちょう舞い秋を感じて弓を引く
母の日にいつも書かない手紙書く
目指す道指さす方にカシオペア
クリスマス淡い光が夜に溶ける
散歩道土筆が見てよと主張する
ひな祭り私を見つめる十五人
新入生今日だけ一日優等生
初雪や雷鳴轟く北陸路
街外れぼくだけ知ってる焼きいも屋
背の高い雲が寝ころぶ夏の空
いわし雲つき刺すように五重塔
愛犬が首かしげてる除夜の鐘
シャキシャキの４月のサラダお引っ越し
柔らかな光の中で紡ぐ音
憧れのセーラー服と合格証
ブラックホール抜けたらそこは花畑
陽炎が僕の行く手を歪ませる
凧と共に上がれと願うテストの点
