伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十五回
佳作特別賞
観覧車あの日を乗せてまわってる
電線で真っ赤な凧が笑ってる
関西の丸いお餅は祖母の味
掛軸と並んで笑う鏡餅
どんぐりがこたつ入って眠りこけ
森の奥目が合い驚く僕と鹿
くしゃみして白く色づく森の木々
この空にひこうき雲とわたしだけ
足先にかくれ湯たんぽ母の愛
マスクして眼鏡に映るは白い霧
海原で鯨吹く潮描く虹
冬布団温もり残したたまれる
祖父よりの電話の中に鳴く小鳥
トウガラシピリリと秋の初収穫
つもる雪ふとんのように飛び込みたい
向かい風駆け出す君にほれちゃった
ああ寒い白い答案雪化粧
夏空の綿飴ちぎるカーブミラー
年越の大地につもる無常感
ふきのとう私も一緒にあく抜きを
炎天下空の向こうは透明だ
ひいらぎにぽつんと赤い髪飾り
こんにちははずかしがりやのテントウムシ
茶畑で茶つみと思えばかくれんぼ
あたたかな日差しに染まる仲間たち
マフラーがこごえた風をあたためる
真っすぐな言葉は届く君の中に
保健室そこだけいつもあったかい
ゆきだるまあなたと一緒にならびたい
歌声に勇気をもらう大晦日
曲がり角見上げた空はあかね色
アラームの音を無視してあと五分
春うららバスの窓辺でうたた寝す
おいオクラお前が彗星だったのか
甘い飴カランと鳴らし向かう春
年の瀬は自分の内部見つめる機
さざんかが花を開けば冬休み
猫の上みかんの下にはこたつあり
てんとう虫小さな花を布団にし
風が吹きはじまる枯れ葉のかけっこが
人混みを北風たちが行き来する
冬の木々無防備な顔美しい
冬の朝ハトが集まり会議中
もち投げをはなれて見てる猫二匹
青林檎はかない恋を思い出す
雪だるま家族のようにもたれてる
アルバムは思い出ためる図書館だ
かけ時計大人と小人のおにごっこ
落葉踏みかけっこしてるランドセル
東北の冬の様子は白い紙