伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十一回
都道府県賞
愛知県
霜柱ぎゅっと寄りそう大家族
川の水満月を見に海へゆく
秋刀魚焼くにおいがするよかくれんぼ
子を抱え眼鏡の雪もそのままに
青空の青はこぼさず辛夷散る
三重県
かくれんぼおならの音でみつかった
頬染める理由は恋かな寒さかな
黒豆をつつく私は父譲り
チューリップドレス脱ぎ捨て子育て中
よろこびの余韻をのせて散るさくら
滋賀県
手ぶくろよどこを旅する片手だけ
土筆みて服を一枚ぬいでみる
星たちの形をまねた雪が降る
秋の日の入日に映ゆる棚田かな
カーナビになかりし在所葱坊主
京都府
雪ふって先生もいっしょにとび出した
あの人の背中を見つつ方程式
瑠璃色の海のパレットかわかない
母の手紙コート着たまま封を切り
紫陽花のつぼみの中に虹眠る
大阪府
鏡さん本当に私こんな顔
張りかえて近づきたくない障子かな
ヨット部は六甲おろしで加速する
寒い日の握手で冬が好きになる
恋人のいてチャボのいて村祭
兵庫県
おかあさんぼくがサンタになるからね
寒いねと君が言うから手を繋ぐ
星の砂キミへの想いもビンの中
迷っても踏みだす一歩で輝ける
村と村つなぐ浅瀬や水の春
奈良県
はつもうでみんなマスクで同じ顔
干柿取るばあちゃんの腰のびあがり
やまびこさん違う言葉も返してよ
秋の恋案ずるよりもアップルパイ
父の名で呼ばれ振り向く里帰り
和歌山県
お年玉なんだかふくろがあったかい
三日月に背中を預け眠りたい
蒼天に尾まで跳ねろよこいのぼり
大くしゃみひとつで和む試験場
紙ふうせん思い出ポンポンつきにけり
鳥取県
百点で母の笑顔も満点に
頑張ろう未来の私がまた言った
おじぎ草会う度ごとに腰が低い
夏草の螺旋に香る雨あがり
春雛のぬくもり残すたなごころ
島根県
おばあちゃん元旦ぐらい休んだら
ブランコは私の恋のバロメーター
大空に答えはマルとトビが書き
風邪の身に愛が染み入る卵酒
父の背の温もり昭和は遠くなり
岡山県
少年の心ゆさぶる冬の雷
塾帰り星より目立つ白い息
そよ風がキンモクセイの恋運ぶ
つないだ手ほどいて祈る初詣
海を見て時間止まれり秋日和