伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十一回
都道府県賞
千葉県
中学の制服を着て男前
北風に応えてまわる灯油売り
割箸をきれいに割ったら秋がきた
喧嘩した夫に掛ける毛布かな
初日燃ゆそんなに海を笑わせて
東京都
ろてんぶろ入りかたまで親子かな
米とぎの音はかすかな波の音
鈍感なあの人想い編むマフラー
飼い慣らす鼓膜の中のきりぎりす
墨東の風は冷たき桜餅
神奈川県
ケンカして仲直りのたねうえてみる
前髪をピンで留めたら春一番
鉛筆を削った黒で夜を描く
そばかすがいいねと言われ草紅葉
ざんぶりと風呂の湯こぼす春の夜
新潟県
ランドセルに入りきらない夏休み
夏みかんはじける光は青春だ
目をつぶる数式たちは宙に浮く
気負うことのない歳になり春を待つ
福は内よい福来いと窓全開
富山県
弟のおなかぽっこりふろあがり
手を当てるストーブただいまいいながら
地層見る古代を重ねて秋の風
はかなげな蝉の声聞くいわし雲
運動会みんなで雲を吹き飛ばせ
石川県
太陽に負けじとひかるぼくのあせ
ひびわれて声はくずれた砂になる
水しぶき子どもの数だけはね上がる
雪ふかし彼の足あと追いかけて
信じ合ふことの楽しさ燕来る
福井県
冬空に寒さ忘れて君を待つ
探梅や足裏に伝ふ地の鼓動
中一女棒タイきりりと衣替え
出漁の焚火の跡を見に来たり
ふるさとや山河慈悲あり泉湧く
山梨県
風に舞う桜はわたしの応援団
イヴに来た天使のような子犬がね
水たまり自分の世界に飛びこんだ
急流に紅葉と童心溶け合って
満月にオブジェを描く枯木かな
長野県
イナゴがねぼくのひざまでジャンプした
手の中に魔法はいくつ眠ってる
おだやかに想うのも恋遠花火
熱帯夜溶けて二人は海になる
石仏の目鼻立ちよし春霞
岐阜県
しびれたらかみなりみたいあしのなか
たんぽぽはすみでさいてもむねをはる
制服の心にそよぐ春の風
少女らの声透りけり冬桜
涼しさや引き戸するりと百年家
静岡県
ポケットにこぶしをかくして仲直り
√3コーヒー片手に午前二時
扇風機只今宇宙と交信中
そして雨言の葉しみる夜半の秋
お母さんいい人卒業しませんか