伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十一回
都道府県賞
北海道
にんにくがこっそりめをだすれいぞうこ
目が覚めて小鳥の会話を盗み聞き
一片の春を始める桜かな
北国の梅と桜が鬼ごっこ
羽ばたきの音の交れる卒業歌
青森県
虫めがねぼくはこん虫そ母新聞
制服を買いに行かなきゃ雪ふんで
風車笑顔の風でよく回る
足跡の隣を歩きて冬の恋
地吹雪が恋人結ぶ太宰の地
岩手県
いいのかな母に豆投げ鬼は外
海沿いを滑る日差しが好きだった
天の川逢いたくて取る携帯電話
小さな手ずっと守るよ大きな手
湯あがりの妻の背中や天の川
宮城県
毛糸編む母のとなりは特等席
白球で一つになれる暑い夏
胸痛い恋と信じたあまい夏
地図のない路地に見つけた猫の恋
手放すと決めたわが家にツバメ来る
秋田県
かまくらにパパも入れるあなあける
三つ星をあげたい母の夕支度
初日の出鳥海山が笑ったよ
春うらら今日も迷子の指栞
村中の夢ふくらませ鯉幟
山形県
さくらんぼ赤くみのっておよめいり
きれいだと知ってるように花火咲く
おふくろの味にさよなら春の駅
茶の花に夕日冷たくなりにけり
校長の硯乾かぬ卒業期
福島県
書初めでじいちゃん手本自慢気に
北風と猫が一匹ついてくる
弟と背中合わせで見た流星
この風が私の味方となる四月
廃校の机に座るかぶと虫
茨城県
生まれたての弟とすごすクリスマス
気がつけば笑顔になってる初電話
冬の夜取り外したい僕の耳
はじめての眼鏡に青い海映す
晩年の重き鞄を置く春野
栃木県
いねを刈る祖父とぼくのかまの音
風花を鼻先にうけ犬眠る
里帰り炭の香りの猫寄りて
秋の葉が踏みしだかれて絵となりし
青空をまわし少年林檎もぐ
群馬県
ていねいにたたむせんたくほっかほっか
風花の特急列車が通過する
好きなこと点で始まり線になる
駆け出した私と夏はイイ勝負
筍を積みし車内に満つ香り
埼玉県
ちょうの口オシャレなストローみつをすう
春キャベツ抱える空気もあたたかい
あいまいな心の中は考古学
遠い夏祖父と鳴らしたラムネ瓶
うどん屋のきつねとたぬき山笑ふ