伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十一回
審査員賞
金かく寺美しすぎて泣けてくる
お仕着せの旅である修学旅行(たぶん)にて、思いもかけぬ感動を得たとき、その驚きはもしかして自分の意志と行動の末に受けた場合よりもはるかに大きくなるのかもしれません。その予想外の衝撃がこの句の中には存分に描かれています。
茶畑のみどりにはえる富士の雪
作者は静岡県の人かと思ったら、狭山茶で有名な埼玉県の人。茶畑のみどりが美しいのは新芽が伸びた四月中旬、茶摘みの頃だろう。その上にあの円錐形の富士山の雪の白がはえている。堂々とした美しい日本の風景だ。
冬の薔薇トランペットに注すオイル
文字と絵画がひとつになったような情景にこころが遊んだ。作者はこんな感覚を持ち続けてほしい。
主張する私でありたい空二月
高校生らしい若さの句。文部科学大臣賞も高校生で、ともに積極的な心情を率直に句に投入しているわけだが、「空二月」が微妙だった。まだ寒いのだが、しかし春の明るさの感じられる空。
小春日や双児のバギーのお通りだい
元気な句です。お母さんパワー全開。子育ては大変でしょうけれど、この勢いで乗り切って下さい。小春日の季語もいいですね。嬉しくなって、私まで「お通りだい」なんて言ってみたくなりました。
繋がれているとは知らず凧泳ぐ
大空高く揚がった凧が、大空でいかにも自在な動きを見せている。実はその凧の糸を自在に扱っているからこそ、自由勝手に大空で泳ぎ回っていられるのだ。その自在の動きの要は糸の繰り方の妙味に尽きるわけだ。