伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十一回
佳作特別賞
切りすぎた髪をからかう空っ風
スコールに軋む町家で雨宿り
殻破る雪どけの春社会人
紫陽花にとろけて注ぐ宇宙の蒼
木枯らしに目覚め隣のギター聴く
霜月の夕暮れが恋映し出す
駅前の野良猫見れば人が寄る
茶柱をいかにたてるか思案中
広い部屋キャリアウーマン出前とる
君想い見つめた夜空流れ星
雪国の窓際エコな冷蔵庫
秋風が手と手を繋ぐために吹く
自販機のあったか~いに立ち止まる
一隅に菖蒲植えたる棚田哉
カンガルーポケットに子という懐炉
青信号続いた入学式の朝
朝露をまとって凛と光る薔薇
ひまわりや校章遺す廃校舎
最寄駅遠く感じる休み明け
ダンベルを持ち上げ競う霜柱
雨垂れに戻れぬ過去が映る秋
残されて涙を流す雪だるま
太陽の色に染まりし小学生
君もまだ婚活中か九月蝉
虹の下笑みを浮かべる雨蛙
炭酸が体に浸みる夏の午後
みずいろの猫を見付けた夏の空
深呼吸春のにおいで満たされる
ゆらゆらと流れるときと落ちる葉と
くろねこの貰われてゆく秋の雨
雪が降る夜空にそっと手をのばす
大掃除BGMは第九かな
満月を本の栞にして挟む
天気予報あなたの街からチェックする
三日月の器に盛ろう金平糖
夜桜に宇宙の果てをかいま見る
名月を見つけて君にメールする
手袋は留守番キミに会いに行く
列車待つ木造駅舎雪積もる
負けるなと毎日届く師の手紙
笑顔さく湖岸のチャペル愛誓う
鯛焼きで産まれくる子の幸願う
紅葉一枚落ちて広がる青い空
夕焼けは世界が燃える刹那かな
観覧車のゴンドラ丸き小春かな
夢があるつまずいたから見つかった
なりゆきは雲四角い椅子にふたり
雪鳴いて足を速める冬の夜
星ふたつ冬の夜空と横の妻
漆黒の空に飽きたら流れ星