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受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員賞

吉行和子選

被災地で生まれた兄ちゃん十三才

兵庫県 米一 謙弥 11歳

十一才の少年の句 あの災害を思い出しました。少年そして、その後に生れた少年は、その時の様子を聞いているのでしょう。元気なお兄ちゃんを見て、喜こんでいる気持が伝わって来ました。

阿川佐和子選

おもちゃ箱整理するたびぬいぐるみの視線

大阪府 山岡 征矢 12歳

ぬいぐるみの視線については私も常日頃から気になっていた。ぬいぐるみはかわいいだけでなく、ときとして厳しくこちらを監視している。静かにじっと自分を叱責しているような、その目に気づいた感性が面白かった。

浅井愼平選

青春という名の池に今落ちた

東京都     蒲地 佑実子 13歳

そういえば、ぼくもかつて「青春という名の池」に落ち、もがき泳いでいたように思う。そのことを作者はぼくに強く伝えてくれた。ほろ苦い抒情をありがとう。青春をたくさんうたってください。

金子兜太選

せみのようにとてもうるさいクラスです

兵庫県  石脇 亮太朗 16歳

高校生らしい率直でユーモラスな俳句だ。中小生では「とてもうるさい」とまでは言えないだろう。とくに「とても」が利いている。それと全部口語調なのも軽快で、なんとなく可笑しそうな気分をよく表している。

倉橋羊村選

寂しさも愛のかたちと気づく冬

大阪府   千石 亜矢  27歳

華やかで、浮き立つような愛がある一方で一見寂しく、激しく燃え立つように見えないながら、ある距離を置きつつ見守って、直接にアクションを起こさない愛のあり方があってもよかろう。全肯定でその人に対するのだ。

森澄雄選

編みかけも縫いかけもあり日向ぼこ

神奈川県 石井 フサ子 82歳

疲れて根が続かないのか。編みかけたもの、縫いかけたものが膝や身辺にあって、日向ぼっこをしている、という八十二歳の自画像。一句の思いは深い。表現そのときの感慨を素直に言い取っているのが佳い。

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