伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十九回
佳作特別賞
おはようがぞんざいになる試験前
桜咲く強く握るよシャープペン
何しても何も応えぬ兜虫
更衣少し短いズボン丈
ユニセフの募金をつのる子頬赤く
家でさえはく息白い核家族
愛という具材が詰まったハンバーグ
さざんかの咲いている道を走ってく
初恋は秋刀魚だったよお母さん
秋風がそっと隣りを走ってく
僕の夢枯葉といっしょに散っていく
受話器越し同じ夜空を見上げてる
君がいないパズルのピースが埋まらない
手の平に浮かぶ夜星はコンペイトウ
三国志読み終えて梅雨明けにけり
的をみるまなざし強き弓始
油断した生まれて既に十七年
向日葵がみんな揃ってご挨拶
おめでとうそう言ったのは電子文字
スカートのしめきりせまる腹まわり
炊飯器開けて広がる秋の香り
おにぎりの具がはみ出して春息吹く
君の横まるで私は熱帯魚
穴があく僕の心とオゾン層
水の中ただひたすらに前へ行く
今年から気持ち切りかえ風光る
ブランコの進めぬことのもどかしさ
天の川渡ると帰りつらくなる
新米を頬張る口に迷いなし
一面に咲いた向日葵家族写真
消しゴムも季節を感じ硬くなる
行く先はスキー板のみ知っている
前の子の寝グセは今日も芸術だ
持久走卵も僕もゆであがる
青い空自由と同じ色してる
三月の発車のベルは応援歌
夏の日は頑なに暮れアルバムへ
本の街不思議の国へ僕も行く
除夜の鐘共に受験のゴング鳴る
寒いけど皆吐く息輝いてる
冬空に未来を語る歯の白し
灯油売る声の流れる冬至かな
稲の穂におじぎをかえす芒の穂
萌え出づる命の息吹春一番
オーブンに入りきらない聖夜かな
水たまりうつる雨雲けっとばす
ぽっかりと穴あく世界冬林檎
風花が私の時間止めている
おでんより始まる宇宙発生論
涙はねいろんな重さがあるんだよ