伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十九回
佳作特別賞
霜柱キリリと踏みしめ朝稽古
夏休み何がなんでも海に行く
浮かんでる雲は空のゆうびんや
壁越しに姉のパソコン深夜まで
寒空に心を灯す友の声
新柏少し田舎の最寄り駅
妹の背中よりでかいランドセル
雪だるま夜に一人で動きそう
さみしさを空き缶の如くふみつぶす
立春にまじないを書く祖父の筆
遠き地の果てまで響け平和の鐘
宿題をしている私を月が見る
またおいで祖母が手をふり夏終る
万華鏡覗いてみたら青春で
あれこれと謂われ聞かされおせち食う
あの頃の夢はまっすぐ空の色
ほのぼのと祖父母と行く初詣で
初日の出心のカメラに秘めておく
金平糖春の夜空をきどってる
風鈴の音は淋しげ犬ほえる
どこ見ても光差しこむ雪景色
晩秋の夜空に浮かぶメロンパン
始まりも終わりも桜は知っている
冬休み月見てなごむ塾帰り
コンビニが都会に思える田舎町
たけのこを熊のごとくに掘りおこす
空気さえじっとしている雪野原
一月は少し重そうカレンダー
ピカピカとホタルが光で話してる
ゆきだるま小さな夢がつまってる
満月が水たまりからこんにちは
冬の夜ファンタジックな風が吹く
成績表ほかの紙より重い気が
雪どけに立ちすくんでる雪だるま
鰯雲みんなそろった家族たち
ちゅんちゅんとすずめの横を失礼します
山彦となってかえるよお～いお茶
ひぐらしが帰っておいでと呼んでいる
田んぼ道稲がおかえり言っている
緊張の試合の空にホーホケキョ
干してある母の服から出る視線
階段を二段飛ばしで駆けた夏
飛び込むと今年もプールの味がする
北風が鼻たれ小僧に活いれる
叱られて言い訳したくて毛糸編む
もう泣かない今度は勝って流したい
雪降って白菜が地蔵に見える朝
ほっこりと焼き芋折ればゆげひとすじ
もういいかい桜のつぼみが騒いでる
雪だるま溶けてくずれて旅立った
