伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
ユニーク賞
てをあわせママのごはんにごあいさつ
おとしだまなかみはママでふくろぼく
たいいくぎくさのにおいがくっついた
このきせつきのうもなべできょうもなべ
らっこみたいながれるプールのわたしたち
弟がぽんとうまれたまた一人
おかあさんわたしのまめを食べました
はく手の音からあげあげてる音みたい
運動会わかいつもりでころぶパパ
はばとびを夕焼け空まで大ジャンプ
月山が白いTシャツ腹出てる
カイロだよ朝わたされたかんのお茶
秋祭り綿菓子たべてる母が好き
お母さんおこるとプンプンやかんだな
冬休み宿題おわらせパラダイス
十一才祖母が見上げるたん生日
カブトムシおこって家から出ていった
年賀状元日前にやってきた
げんかんで「いらっしゃいませ」と雪だるま
歯医者さんいきなりぬかれた夏休み
菜の花もルンルン気分一年生
クリスマスきっとサンタは大出費
こままわし昔の風景見えてくる
りんごむくくるくるくるり赤い帯
通ります北風トンネル学校へ
お年玉給料ってこんなうれしさかな
早く来い流しそうめん渋滞中
母親の花火みたいな笑い声
午後6時かくれて帰宅忍者気分
北風に考えたことを盗まれる
昼寝する母をまたいで塾に行く
消しごむで消せる言葉は少しだけ
冷蔵庫おせちが今だに住んでいる
カブトムシ男の夏を知らせるぜ
妹の雪だるまには耳がある
夕焼けがもう1つある川の中
春風や少ししょっぱいユニフォーム
貝がらを耳にあてたら夏の音
授業中雲が枕に見えてくる
恋文の切手のかわりもみじの葉
四度目の年女だと母嘆く
一つだけ最後のみかんジッと見る
恋愛の格差が拡がる男子校
息すれば肺の中まで冬が来る
「今日はね」と母に報告一年生
花粉症言うこと聞かぬコンタクト
太巻に似ている母が大好きだ
ガリガリと鳴る音全て受験生
ふと想う円周率は何でπ
年賀状達筆すぎて舞い戻る
花よりも花を見ている君が好き
腹の虫年中無休で鳴いている
これでもない君の心の鍵は何処
シャボン玉君と一緒にはじけたい
ガラガラと先生入ってみな黙る
誘われて一口かじる渋い柿
細雪人恋しくて立ち止まる
ルンルンルンチョコの気持ちはスキップね
父遅し秘密会議を母と子で
ミニスカを履いて背中に貼るカイロ
茶柱になろうと茶の葉奮闘中
なべの中たこが一匹のぼせてる
ふるさと便野菜の中からお年玉
渡そうかやけどしそうなチョコレート
お月様たまには笑っていいですか
さぁ昼寝何もいらない小春日和
幸せは午後まで眠れる休みの日
スイカわりここは女の捨て所
鬼やんま進入禁止を越えてゆく
今が好ききっと未来はもっと好き
カレンダーめくる我が子も七変化
サイダーの飛沫を鼻に浴びて夏
楽しくていつも片手に猫じゃらし
靴ひもがほどけて目が合う大カマキリ
祖母の家私の中の世界遺産
まる顔の牧師のソプラノ地虫出づ
いい男角を曲がりぬ桜桃忌
傘閉じて君との距離がまた開く
ばあちゃんの英語の歌は秋田弁
帰省して団欒という名のお説教
氷点下ボーナス開けてもなお寒い
ドーナツの穴の向こうににじむ青
冬の朝窓の曇りに告白中
アンパンを噛んで味わう春の町
ケイタイの明かりが灯す孤独かな
新年を時差で迎える異国の地
ポスターの君に見られて部屋そうじ
山頂にたった一輪岩スミレ
母からのメールはいつも多国籍
クレーンの雲を吸いとる用意あり
男にも弱みありけり濁り酒
コロッケの中に寒さを閉じ込めり
フラミンゴ脚もてあまし冬日かな
エプロンのポッケに節分豆一つ
雪女郎携帯電話持ってますか
地球儀を廻し世界の煤払ふ
ロボットと握手僕より力持ち
短夜の更けて茶漬けの歯切れよし
老いの愚痴九官鳥に真似られる