伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
都道府県賞
広島県
パパはしる手づくりたこは上がらない
おにぎりといっしょに秋風たべちゃった
地引き網やわらかかったフグの腹
春の馬喜び背に乗せ風になる
朽舟にノート一冊あぶらでり
山口県
こしかがめおばあちゃんと田植えする
きつつきのつつくリズムは母の音
草刈りの後に小径の現はるる
寄す波のピアニッシモな春の海
悠然と地球ひっぱるいかのぼり
徳島県
おそば食べ半分ねながらおめでとう
大漁とじいちゃん笑顔でVサイン
ヨモギ餅親子三代家の味
思い出のレコードまわす雨の夜
夜泣き後の寝顔に月の光さす
香川県
エルニーニョさくらがさいたお正月
眠れぬ夜窓打つ雨を羊とす
祖母の髪ピンクに染むる日暮れかな
図書館のここが上席若葉風
団塊や話題が街を闊歩する
愛媛県
ねんがじょう友の字元気におどってる
パソコンで星を調べる熱帯夜
進入禁止リビングいっぱい書きぞめ並べ
毎日がおせちの残り豆ばかり
祖母の待つ空港間近盆の海
高知県
女だと毎年思うひなまつり
石段の一円キラリ薬王寺
放課後の抜け殻みたい机いす
まだ広い母の背中にほっとする
枯れ落ち葉白き煙に集まる輪
福岡県
青空大すきうめの花ポッポッポ
夏の雲見えてきたのは母の顔
ばあちゃんと湯のみを持って仲よしに
猫と目が合って気まずい冬の風
家事済ましウトウトゆれる母の夜長
佐賀県
カチカチとうるさいとなりのボールペン
前見ると半目の先生座ってる
消えぬ恋榾木のような残り火よ
春浅し彩り多き服を着て
モノクロの記憶は父の肩の上
長崎県
用水路小滝を作り涼しそう
少年の情熱しみた麦わら帽子
父の背に大漁祈願そっと願う
シャボン玉中空に風あるみたい
むぎわら帽風がかぶって逃げてゆく
熊本県
水俣は命のしずく青い海
一つずつ色を確かめ苺採る
お正月コンビニの前で風邪を引く
手のひらで編んだ夕日はりんご色
しわの手に乗り文鳥の春の歌
大分県
雪降るとしずかな教室さわぎだす
蹴り上げたボールと夕日が重なった
もう少し背伸びをすれば届く春
母さんとつぶやいてみる夕桜
さよならの代わりに春の雪降らす