伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
都道府県賞
北海道
散らし寿司テーブルの上に春が来た
父の背が大きく見えたテント張り
青春と津軽海峡後にする
漁り火が星に負けじと海を舞う
コーヒーがうまいしっとり雪降る日
青森県
ろてんぶろ雪で顔だけれいぞうこ
シベリアを暖炉で語る祖父の声
父の背が仕事の辛さを語ってる
日曜日ひなたのにおいがする布団
空耳にされてしまいぬ初雲雀
岩手県
夏の空八・一五に鎮魂歌
雪衣纏い輝く岩手山
薄野へオーケストラを聞きに行く
初めての雪に小さな手形押す
ランドセル選ぶ姿が春を呼ぶ
宮城県
金色の稲穂がなびく千枚田
雪玉をにぎる背中に当てられる
ちりぢりに大地へ還る紅葉かな
シュプールを描きし子の頬紅二つ
鮟鱇を吊って丹田膨らます
秋田県
うらの畑せまいけれども野球場
たんぽぽは私と同じふんばるよ
なまはげの声といっしょに波しぶき
湯たんぽの代わりに我が子ギュッと抱く
霙やみ鬼火のような夕日燃ゆ
山形県
月の山りんどうの花さきほこる
アマリリスぼくの背みたいにのびている
ふきのとうちょっぴりあわてて顔を出す
羽越線白鳥さんも乗っている
手を添えて凍えし指先温みゆく
福島県
ばあちゃんのセーターあむ手まほうの手
ふなの列川に見えるよこいのぼり
強い風三連休もふきとばす
雪化粧ポストはどこにありますか
水仙を冬の匂いと子らが云う
茨城県
ピカピカのくつとはずんで新学期
マフラーを母は長めにあんでいた
青空に響け勝利の応援歌
陽だまりに置かれた座椅子祖母の影
蟻の列ちょっと自由な最後尾
栃木県
しんまいがきらきらひかるかまの中
たこ上げて冬休みはもう終わりです
かまくらのこわれた穴から星を見る
けぶり立つ関東平野の冬の朝
銀杏散るアルファベットが散るように
群馬県
なわとびのじゃまをしないで冬の風
暖冬や父と二人の三国峠
満天の星になるまで語り合う
風ぐるま父が一吹きして選ぶ
木枯しを両手に受けて味噌作り
埼玉県
花の芽がよいしょよいしょと力だす
フサフサのセーターを着たコブシの芽
受験日にいきなり母が物落とす
おばあちゃんの家昭和のにおい
まるい夢見たくてまるくなり眠る