伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
審査員賞
そつえんでママのお目めはあめよほう
六歳の作者だから、「そつえん」は幼稚園だろうか。感じやすいママは、無事に仲良く卆園日を迎えたことで、感謝と喜びの思ら、目がぬれてきそうなのだ。スナップ写真よりも、遙かに印象につよく残る句である。
風ふいたまたくりおちたまたおちた
繰返すと気分が盛り上がってくる。俳句は五十五音(字)のリズムが基本だから、繰返しが旨くこのリズムに乗ると、ますます盛がってくる。そのよさ。栗が風とともにぱらぱらすとすと落ちる。実りの秋だ。秋だ。
母さんの大根きる音まだ眠い
母さんは朝早くから食事の用意をしている。大根をきる音が台所から聞こえてくる。だが、作者はまだ眠いのだ。日常感がよくでていて小学生の部の秀句であろう。
嘘をつく相手がいない春休み
安次富大さんの茶目っけが面白くて気に入ってしまいました。きっと楽しい嘘を思いついては友達を驚かしているのでしょうね。そんな友達がいるということも大切ですよね。休み中にいろいろ考えておいて、休みがあけたら、又、大いにアバレてくださいね。
さかさまに心を覗く夏の蜘蛛
蜘蛛って奴は自由なんだね。さかさまに世界を覗きこころまでも見透かしてしまう。琴子さんも蜘蛛になって、さかさまになった。面白い。
節分の鬼のこっそり煙草吸ふ
愛嬌のある句である。こういう、ちょっとした光景を見逃さずに目にとめて面白がる作者の品の良さとリズム感が、言葉の並びにも旧かなの使い方いも良く表われている。