伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
青蛙言いたいことがあるらしく
風が解き点となりゆく花筏
一枚の冬枯つつくカラスかな
対岸の古き住居や冬花火
青りんご太れ太れと農婦の掌
天空のはぐれ鴉や秋のくれ
継ぎ目なき秋天落書したくなる
じゃんけんのはさみをかりていちごつむ
少年の無口を手話が解きほぐす
ひもじさの昭和遠のく豊の秋
大寒の入日燃えつく佐渡の海
春月やその後沙汰なきかぐや姫
積ん読が砦のごとき春炬燵
放水の水の背に乗るあきつかな
編笠の紅緒きりりと風の盆
リハビリの高くお手玉春の雷
人生は柱時計の振子かな
野球帽落ち葉のベースにすべり込む
流氷が光りと春を牽いて来る
ジョギングや有明月に足とられ
きっぱりと明日切る髪を洗ひけり
初氷人さし指で割れる朝
振向かぬ孫を送りて寒の月
忘れごと罪負はされて茗荷の子
毛糸編む婦警にもある母の顔
狐火や信濃に長き塩街道
椅子二つ向き合っている春日向
立春の朝コロンブス來てほしい
不揃いの本音口ぐち旅寝かな
凍て解けて水車「コトリ」と水光る
啓蟄の大地ことりと自転して
丸い腰伸ばす春田の夕日かな
目を閉じて浮世を消しぬ日向ぼこ
木枯しや又三郎が戸を叩く
風薫る椰子林中のレストラン
秋の雲日本列島えがきをり
高原の一両電車の花野かな
着ぶくれて歩幅の自由ままならず
