伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
良きことのありてほゝえむ桃の花
バレンタインデーこの頃少しつまらない
南十字仰ぐ国に生き茶を点てる
かき餅のすだれの奥や土地訛り
砂時計また春愁を反転す
手の届く周りに雑書冬籠もり
寒の水揉みくちゃにして紙を漉く
茶ともだち老後の筋書などはなし
幾何が好き解析も好き鉄線花
山頂で俄句会や風馨る
かくれんぼかくれた所でせみのこえ
烏瓜昨日の夕陽を留めおり
凧あげてこころ子供に戻りけり
古希を過ぎ一単語となる志
雪しまく幻の汽車ひた走る
初夢はガラスのような恋をして
おもちゃ屋のピノキオ笑ふ春隣
狛犬のふっと吐き出す鬼の豆
日向ぼこ恋もセピアの色の中
ひまわりの種に日なたの匂いして
子離れの出来ぬ女や亀鳴けり
花びらのような朝の日寒卵
日本が破産する日のチューリップ
鍬休め蜻蛉に空をゆずりけり
鳴き砂を一人占めして秋の海
旅カバン大志を詰めた春の駅
山の辺の里に赤引く彼岸花
モーツアルト蝶になりかけてる私
春風の手もかり押さる車椅子
ほころびて上段に移し置く藤の鉢
坂道に名所ありけり寒満月
蜻蛉の空に道筋ありにけり
土いじり好きで長生き茄子の花
猛吹雪伏せて顔なき人ばかり
節分の鬼が受けとる菓子袋
山青葉どこに立ちても茶の匂
梅ひらくただそれだけの海がある
かくれんぼ八つ手の花を零しけり
雪吊りの仏塔のごとく靜かなり
縁側に花ござ敷いてちびり酒
むきだしの山肌青む出開帳
釣り舟の方程式か瀬戸の凪
路地裏のへのへのもへじあたたかし
帰省子に青い空あり水のあり
握手するだけのつながり雪女
朝顔にあさの勢いをもらひけり
救急のピーポーやまぬ雪の朝
囲はれて年を越しゆく海女の舟
花暦また見直して旅プラン
幾百のわたし飛びたつしゃぼん玉