受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

小春日の片側だけのバスの客

青森県 境 文子 70歳

ままごとの続きの梅を干しにけり

千葉県 荒井 玲 70歳

三世代ミレーのように種を蒔き

千葉県 松田 まさる 70歳

夏雲をゆるりと撫でて大風車

大阪府 安井 トヨ子 70歳

道草を夕陽が諭す通学路

東京都 工藤 昭一 70歳

身の上も少し話して新茶売る

福岡県 鹿子生 憲二 70歳

登校の子はまっしぐら鳥帰る

福岡県 太田 正之 70歳

北風や故郷の匂いが鼻を突く

兵庫県 井端 宗作 70歳

噴き上ぐる水の高さに風光る

兵庫県 鈴木 純子 70歳

母の記に遺るは飢餓の章ばかり

北海道 石坂 寿鳳 70歳

冬の鷺今日一日の点を打つ

茨城県 佐竹 嘉子 71歳

春疾風どんとかまえる力石

広島県 安原 敬太郎 71歳

お日様に吊り上げられし雲雀かな

広島県 津田 和敏 71歳

名前など気にせぬへくそかづらかな

埼玉県 金井 勉 71歳

土筆摘むここが地球のど真中

埼玉県 渡邊 氣帝 71歳

冬眠を忘れて蛙正座せり

三重県 中條 道子 71歳

折り紙の角定まらぬ建国記念日

神奈川県 金子 経子 71歳

ひとりごとの煮詰ってゆくおでんかな

静岡県 中川 正男 71歳

白鳥をかぞえて九十九の母よ

千葉県 横山 久子 71歳

八月を普段の貌して生きている

大阪府 嶋野 智之 71歳

少年のこゑ率きつれて初蝶来

大阪府 平川 忠利 71歳

がやがやと春を押し出す保育園

東京都 地原 光夫 71歳

春風を入れては背負ふランドセル

東京都 藤原 桂子 71歳

大鈴のごろんと動く小春かな

栃木県 青木 洋子 71歳

転びても喝采浴びる運動会

奈良県 久米 朋尚 71歳

風の音おどろいてわれ返事する

兵庫県 田村 マツ代 71歳

エンピツを丸く削ってあたたかい

北海道 藤谷 忠伸 71歳

望郷の念のせ流る銀河かな

ブラジル 新井 均 72歳

真鰯や皿に溢れる海の色

愛知県 城後 幸明 72歳

団子虫掌に転ろがして子の不思議

岐阜県 山田 綾子 72歳

いつの世も爭い絶えず鵙猛る

群馬県 小此木 フサ 72歳

爽という漢字のような女性来る

広島県 藤井 秀昭 72歳

コスモスに海せりあがる無人駅

山口県 森元 輝彦 72歳

なまはげに成りきって声潰しけり

秋田県 村田 光雄 72歳

哀しさよ時の流れの戦ごと

千葉県 貞方 京介 72歳

足裏は淋しきところ明け易し

千葉県 嶺岸 幸子 72歳

近道が遠道となり春の月

栃木県 田野井 一夫 72歳

うつくしく捌かれてゐる桜鯛

福岡県 大里 義孝 72歳

砂が鳴き琴引浜に春きたる

兵庫県 山元 優一郎 72歳

いつよりか夫より先を夏帽子

熊本県 吉田 喜久子 73歳

天界といふ街もあり冬銀河

群馬県 松本 ミズ江 73歳

摘草のそばに水音走りけり

高知県 近沢 基子 73歳

老いの手を優しく包む火鉢かな

埼玉県 佐々木 市子 73歳

シャボン玉中の赤ン坊よく笑う

三重県 池田 三治郎 73歳

渾身の力を幹に蝉の殻

神奈川県 安部 英生 73歳

鳴き止んで月の真下に恋の猫

千葉県 月岡 千秋 73歳

ありあまる思いを胸に葱刻む

千葉県 森田 艶子 73歳

水たまりぼくを見ているぼくがいる

大阪府 田口 栄一 73歳

かたまれば孤独はじける日向ぼこ

東京都 折井 素女 73歳

極月や化石の如きペルシャ猫

栃木県 石井 ヒロ 73歳

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