伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
ウォーキング暖冬ゆえに断れず
雪だるま子供の遊びの見守り隊
新しい家族は作った雪だるま
夫婦茶碗夢だったのに崩れ去り
おしぼりにレモンの香り春の風
衣替え着れない服がまた増えた
偽善者をじつと見つめる花氷
小さな手ぬくもり握って通園路
浮き沈み大波小波我が人生
エルニーニョ草木も迷う冬桜
白桃の香りで僕はノックアウト
お隣りは住んでる気配するだけだ
青林檎まるごと君に愛される
故郷の家新たなれど親老いて
朝顔のぐっと突き出す男道
葉畑に五月が薫り時刻む
向かい風負けてたまるか風見鶏
年毎に産地減りゆく霜の花
ヘッドフォン心の雪も溶けてゆく
思い出は風を分け合ういのこずち
水冷えて違う小鳥の音色かな
山頂に枯葉も悔いも踏んで立つ
花冷えやわが靴音に迷いなし
空豆のおしゃべり聞こゆさやの中
少子化が進むにつれて医師不足
花色のふうわりひと風のれん押す
失恋も花粉症だと誤魔化せり
この木の芽青くなる頃母になる
体操でぐるぐる春風回してる
雪柳四肢より放つ生きる意志
波ざんざさぞや大きい宝船
新緑に寝てわたあめを食べる午後
辞令出る二月に思う未知の春
かくれんぼ落ち葉の音が場所教え
恋という季節も入れてみたくなり
水族館チケット制の竜宮城
冬の風街の空気を澄ましゆく
雪国のほほを染めたるりんごかな
茶畑に新芽の香る我が山郷
冬晴れに小さき産着水通し
踏みしめて大地感じる霜柱
顔写真口一文字受験票
唇にとれたてトマトの体温や
銀杏の木黄色の衣脱ぎすてて
宿りし子月光浴びて腹を蹴る
六月の海は土へと沁みていく
旅先の夕日に誓う自分越え
眠れない部屋いっぱいになる羊
運動会水無月の田に風走る
砂時計くびれた場所に今を映す