伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
粉雪にほのかに香る春の息
乳呑児の頬の産毛や聖五月
沈んでく夕日の向こう明日が見え
夜桜や役者のやうに演じけり
夕闇にうかぶ炎は彼岸花
冬の外ロボット歩き筋肉痛
散る舞うもただ一本の桜なり
押しかけたハンコの先に蟻一匹
大好きなあなたの笑顔離さない
温泉でもとを取るためのぼせます
約束をすっぽかされて雪ダルマ
カーテンをキリリと開けて春立ちぬ
白地図を持って出かけた春うらら
星空を作る花種蒔きにけり
みな違ふ鶯餅の凹みかな
思い出の部屋に手あわせ感謝する
おじぎ草みたいな春の一年生
茶柱が立って期待の夜明け前
もみじの手心をぎゅっとつかむよう
雪だるま隣のあの子は雪うさぎ
一葉も諭吉もありてお年玉
カミナリの音を聞くたび父おもう
春風はまどろむ君の髪の匂い
出会いからやり直せそう春の雪
父の顔童に戻すカブトムシ
写真撮る五人家族で同じ顔
しゃぼん玉春一番に乗ってった
落ち葉踏む同じ歩幅の温かさ
あのひとの便りは胸の冬日向
道東の霧に隠れて憩う鶴
春髪のふわりふわりと恋をする
蛍火や君に届かぬ恋をした
初雪の旅路の末の赤ポスト
大逆転ダーツが的中ど真ん中
陽だまりで猫が伸びする午後三時
長い影君の姿を探す夏
口笛で鶯真似て春を呼ぶ
遙かなる銀河のナミダ流れ星
ダイエットダンベルがわりにおーいお茶
猫柳はじける音で振り返る
妹はテストのたびに風邪をひく
惚れ薬あなたのお茶にしのばせて
ホウロウの鍋ことことと小正月
母の声聞いて辛さが飛んでいく
廃屋を串刺しにして伸びた竹
俺よりも足を伸ばして菖蒲の湯
大人気帰宅直後のお父ちゃん
雪女グラス傾け夜を明かす
玉葱の暖簾が奏でる夏の音
九月の海青春にも似た切なさよ