伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
夢一つぽろりと捨てて就職す
青空に白くふわりと朝の息
筆箱に恋があふれて七色ペン
地蔵の手やさしくなでるかたつむり
地球儀をくるりと回す北風小僧
透き通る夜の蒼さとオリオン座
ひらがながなんだか似合う春うらら
温暖化小春日和が多すぎて
思い出すサインコサイン恋の記憶
合否聞き出産のような歓喜の嵐
ブランコで乙女にもどる母の笑み
春風にもてあそばれし絵馬笑ふ
風涼し木の葉の音で我眠り
風船を空に落として赤映ゆる
未来へと子どもを守る登下校
入道雲崩れて海の夏が去る
散歩道抱っこしながら暖をとる
あの頃の想いが詰まる駅の影
茶畑の眩しいほどの緑色
雪を蹴り空へと続く滑走路
土の中花の香りがかくれんぼ
星は星あなたはあなたで私は私
栄えれば身体を壊す青い地球
約束を果たせないまま寒桜
八月や祖父の遺した喇叭ふく
バレンタイン天使のほほえみつかみたい
世界地図まぶたの裏で一人旅
パンケーキ満月よりもまんまるい
青草が地面ゆすって夏近し
地球という大きな家に引きこもり
サイダーの炭酸みたいにはじけた恋
イヤフォンを外すと濃くなる街の色
富有柿もぎ残された実が一つ
砂利道が月に照らされ天の川
半分は?月のかけらを探す孫
夏の海田舎で過ごす雅びな日
観覧車何も話せずもう一周
たんぽぽは乳のでる草ちちははよ
寄せ鍋や黙して今日の恥を煮る
逆上がり少年ごころ呼び起こす
バレンタイン焦げたクッキー弟に
積乱雲あれは古城か大山か
青春の風薫る駅途中下車
花畑昆虫達のレストラン
ガクランに腕を通して冬来たる
鳥の群れ我追い越してどこ帰る
きりぎりす野原に捨てた三輪車
川の字がいつのまにやら幾何学に
かきあげたきみのおでこにながれぼし
ほのぼのと欠伸を一つ祖母の猫