伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
氷張るタライを猫がのぞきこむ
空に舞うゴッホのような夏花火
まったりと時が流れる冬炬燵
刺すような鼻の奥の冬の匂い
向かい風まわれ右して追い風に
戦争を無言で語るさとうきび
まだ解けぬ友の心の方程式
彫刻刀何を彫ろうか春の木に
牛蛙車に動じず横断中
水のないプールを落葉一人占め
ばあちゃんのシワが語る八十年
宿題と雪片付けの冬休み
身に染みる寒さに耐えて弓を引く
一列に楽譜のような葱坊主
筆箱にえんぴつ一本春近し
ぬくぬくと猫の気分で年を越す
波の音一人ぼっちで聞きに行く
持久走園児の応援あたたかい
日常という名の水面考える
マイキャット抱くと張り手の静電気
プレゼントサンタは風邪をもってきた
日本語の迷路にたたずむ私なり
よろこびも涙も見てきた体育館
黒猫の黒より黒い冬の夜
横顔に心のシャッターきってみる
エンピツが短くなると秋がくる
はく息でさらに空が白くなる
しゅわしゅわと僕で弾けるラムネと君
まだ硬い教科書開ける入学式
授業中雲の形を観察ちゅう
太陽の光が夏を呼んでいる
菜の花のように育てと名付けられ
冬の風僕も一緒にさらってよ
書道室筆がぷるぷる風光る
春風の抜けるホームに君を見る
あつあつのたこやきほおばり蒸気機関車
北風が私をめがけて大合唱
これからと思った矢先終わる夏
雪の中白い僕の木が直立
かき氷花火の色を食べている
たんぽぽを吹いて白い風にする
雪ダルマさんざん泣いて傾ぎけり
姉の顔みるみるうちに母の顔
降る雪を広い心で受け止める
西瓜割り目かくし透けてる真っ二つ
サイダーの炭酸みたい青春も
梅の花ポッカリそこだけ温かい
東京の寒空廻る観覧車
ぶきような父の手料理いただきます
シーサーが見守っているさとうきび