伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
打水で増した気がする日の暑さ
母の手は私をつつむマフラーだ
水溜り覗けば私と鰯雲
ひまわりが夏を追いかけ背を伸ばす
先生のジャージきらめく春四月
あさがおの大輪浴衣に咲いている
花畑風の指揮者と踊ってる
甘酒の振舞いもありドンド焼き
春風が開いたページめくってく
吹奏楽音符に生命を吹きこんで
腕ずもう父親越える第一歩
自転車でひとりじめする春の風
寅さんとこたつと祖父と午後三時
街灯は照らしてくれない僕の道
織姫にてるてるぼうず作る朝
冬の青鰤の色は海の色
木枯らしにラケット背負いペダルこぐ
梅ぼしとゆげのたつお茶父の朝
からっ風どうしてそんなに怒ってる
駅伝に手渡す襷願いこめ
みそしるに溶け込んでいる朝の色
赤城からキンとつめたいからっかぜ
うたた寝のばあちゃん丸く転がった
時間とは軽いモノだな砂時計
まっすぐな破魔矢の威厳突き刺さる
春を待つ祖父の絵筆のさくら色
バレンタイン今年も母の一つだけ
君と僕白い吐息が交差する
ばあちゃんの背中にできた太鼓橋
公園がさみしく見える寒い冬
ひかえめな秋の星座を好む君
稲たわわ身をしならせた夕暮近し
聖夜の灯蔵の軒端に点りけり
恋心夕凪のように消しさろう
帰り道月の兎に見送られ
キミにただ会いたくなって駆け出した
硬く張るバイト帰りの姉の肩
腹が立つ百人一首の一途な恋
冬眠をおえた熊のおおあくび
丘の上入道雲がおお欠伸
伊勢海老が箱に入って年来たる
にんじんが私に切られ花となる
あと一歩ベースに届かず夏終わる
丘の上ブランコこいだ星ふる夜
ふるさとは今も昔も空広し
日だまりの出窓華やぐシクラメン
雲は動くそんな事すら忘れてた
満月の夜はぐっすり眠れそう
サングラスちょっと自分が強くなる
五七五おさまりきらない夏の夜