伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
明日なんか来るなと思う別れの日
ツクツクボウシ後少しだけだまりなさい
みの虫の気分になって昼寝する
初日ノ出赤く染まった姫路城
夕焼けの赤より赤し赤トンボ
あの木から鳥が巣立った卒業式
悲しみを溶かしていくから春が来る
星たちの視線を感じて帰る夜
一輪が花束よりも輝いて
年賀状届ける人の赤い頬
制服の大きさを知る新入生
徒競走やる気だけなら一等賞
真青なジャージが二つ雪の上
観覧車ちょっとの間の二人きり
おばあちゃん手のぬくもりがほっとする
おはじきのずるをしたがる小さな手
新年の希み高きに口漱ぐ
寒つばき落ちてなお咲く艶やかに
手に汗をかいてもはなさぬ幼い手
背を向けて君が見ていた朧月
卒業の空をみれば青かった
ジャガバター食べたら冬を感じます
おでんの具最後は卵が湯冷めする
障子張り日差しが白く流れ込む
いつの日かお菓子のような恋したい
冬の朝みんなが小さな蒸気機関車
年賀状友への敬語が照れくさい
赤とんぼ風にのまれた夕間暮
松の木にゆるりと登るおぼろ月
よく見るとリンゴもミカンも個性派だ
除夜の鐘紅白見ずに英単語
今はもう見ることのない蛍川
風鈴は横切る風のみちしるべ
春風や最後の給食かみしめる
ビー玉を一つ沈めた金魚鉢
送り火の煙がしみる里帰り
そよ風のじゅうたんにのる音符たち
ビンの口耳をすませば波の音
石ころに名前をつけて呼んでみる
素知らぬふりする猫のこぼれそうな眼
弟の思考が読める十五歳
熱いいも手からポンポンはねている
白鳥はシベリアなまりのクワックワ
鍋の中箸が十本闘争なり
七草の一つ欠けてる父の粥
先輩の密かな努力知った夏
お茶を飲み優しく笑う祖母が好き
向日葵のまぶしさ君と重なって
草笛を吹けば風も踊り出す
伊勢エビを初めて食べた修学旅行
