伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
佳作特別賞
宿題は難攻不落の城となり
はじめての携帯着信十三の春
すすきゆれ私もゆれて秋の絵に
夜光虫海のじゅうたんのれそうだ
除夜の鐘全てを許せる響きかな
冬の山みんなねむりにつきました
進路と言う迷路に向かっていざ行かん
初日の出真紅の輝き目に残す
花畑同化できない黒アゲハ
大阪へ小さな小さな旅をする
祖母の手はすべてを語る様だった
冷えきった盆地に残るぶどう園
大海を大きく割った鯨の尾
かくれんぼかくしきれない冬木立ち
軒下で何を夢見る燕の子
たけのこの負けず嫌いが地を二分
自画像を描いてるうちに母の顔
セーターの毛糸のにおいにつつまれる
雪景色すでに小さな足音が
思い出は遠い海辺の貝の中
歩道橋夜空の月もわたってる
初日の出新たな旅の道しるべ
夕方にぼくから逃げるいわし雲
冬の空白き周りに寒さあり
初日の出今年の叫び受け止める
バット振る音だけ響く冬の夜
黄金虫鎧光らせ木を登る
すずなりに実るはっさく旧母校
大好きな祖父が育てたなすが好き
凍てつく手馬の背中で暖をとり
雲集め大きなマフラーできるかな
たんぽぽよわた毛をまとう音符たち
甲子園男の力みなぎって
教科書がめくれるたびに眠くなる
気がつけば本気でやってる雪合戦
春近しプチッとテレビきった夜
一夜漬けうまくいくのは野菜だけ
霜柱サクッと踏めば笑顔かな
半そでを肩までまくるお父さん
加湿器が家で一番さわいでる
かるた取りたたみの香りなつかしい
夏の空僕の風船溶けてゆく
夏の空瞳を閉じればきみがいる
リンゴはね皮をぬいだら満月だ
雪は空から篩われて来た粉砂糖
雷鳴や父親という存在感
雪の子を風の小舟がのせてくる
冬休みわが家の居間は幼稚園
北風が冬の終りをいいにくる
赤蜻蛉新たな風の配達人