伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十八回
英語俳句の部 大賞
-
holiday pebble
whiter on the beach
than back at home 訳/ 行楽地の小石持ち帰ってみると浜ではずっと白かった休暇先の浜辺で見つけた白く輝く小石。水の作用で滑らかに磨滅し、形も良い。記念に持ち帰って見ると、拾った時の輝きは失せ、平凡な石くれだ。狐に騙されたような、がっかりした経験は誰にも思い当たろう。人の心理を鋭くついて、おかしくもある句。和訳と違って原句の英語は、省略のよく効いた、リズミカルな表現で素晴らしい。
英語俳句の部 優秀賞
-
still feeling its way
around the blind bends―
the eyeless river 訳/ 見通しのきかない急カーブを盲目の川が行く行く手を感じながら -
hydrangea
not a single petal
the same 訳/ 紫陽花一つとして花びらは同じでない -
two cats of mine
fighting in summer
sleeping together in winter 訳/ うちの二匹の猫夏は取っ組み合い冬は身を寄せて眠る -
fish
caught in the
net of light 訳/ 魚光の網に捕えられ -
The sky is clear and blue
clouds are swimming all around
just like a pool 訳/ 空は澄んで青い雲たちが泳ぎまわってプールのよう -
into the dusk
the doe's tail
flees its own white 訳/ 夕闇の中へ雌鹿は尻の白さをふり捨てて -
rolling thunder
the deeper darkness
of distance 訳/ とどろく雷鳴遠くの闇が深まり -
a visit
two tiny feathers
on the sill 訳/ おとずれ二つの小さな羽毛が窓敷居に -
high tip of the pine
a warbler swivels its head
vista to vista 訳/ 松の梢で鳴鳥が首を回すあち見こち見し
英語俳句の部 審査員賞
-
skull tingling
in a sleeping bag
beneath the stars 訳/ 星空の下寝袋にいて頭蓋がうずく満天の星の下、寝袋に入って眠ろうとする。が、頭蓋がひりひりと疼いて眠れない。寒気のせいなどではなく、あまりに見事な星空の影響なのだと想像させられ、暗示性に優れた句。
-
Silence rustles
as the moonlight drips
on yellow leaves. 訳/ 靜けさがゆらぐ黄葉の上に月光がしたたるときこの俳句は自然が生き生きと我々によみがえってくるようだ。通常一緒には使わないであろう言葉 (silence と rustles、moonlight と drips) をあえて使用することで、生命力を感じさせ、自然界の動画的イメージを深めている。
英語俳句の部 後援団体賞
-
just enough moon
for this firefly to land
on my finger 訳/ この蛍が私の指にとまるのに
ちょうどよい月明かり